设定
人物背景Ⅰ
倒される侧の英雄である。
(マハーバーラタはパーンダヴァ王家とカウラヴァ王家、
両势力による戦いを主轴として描かれたもの)インド神话の大英雄アルジュナのライバルとして名高い。 ◆ カルナは人间の王の娘クンティーと、
太阳神スーリヤとの间に生まれた。クンティーはクル王パーンドゥの妻だったが、
パーンドゥは子供を作れない呪いにかかっており、
后たちは各々の手段で子供をもうけるしかなかった。クンティーは任意の神々と交わり、
子供を产むマントラを授かった女で、
この手段でパーンドゥの子供を产む。 ……が。彼女は王の妻となる前に、
マントラの実験として子を一人もうけていた。
この子供こそカルナ。太阳神スーリヤと
交わるコトで生まれた、黄金の英雄である。クンティーはしたたかな女で、初出产の恐れ、
神々が自分の子を认知するかといった不安から、
太阳神スーリヤに
“この子供が贵方の息子である证拠がほしい”と愿った。太阳神スーリヤはクンティーの言叶を闻き入れ、
生まれてくる子供に自らの威光、属性を与える。これがカルナを不死身たらしめる黄金の铠の出自である。 ◆ が。そこまでの恩宠、诚実さを示されながら、
クンティーは一人目の息子を舍ててしまう。
クル王パーンドゥの后になる事が决まっていた彼女には、
息子の存在は无用でしかなかったからだ。こうして母に舍てられたカルナは自らの出自を知らず、
ただ、太阳神スーリヤを父に持つ事のみを
胸にして生きていく。母の颜を知らず、また、その母の动机が不纯だった为か、
カルナの姿は见目丽しいものとは言えなかった。父の辉かしい威光は备わっているものの、
その姿は黒く浊っていた。
颜つきは酷薄で、その一挙一动は粗暴につきる。
人间の母亲がいなかった为に人の感情の机微を学べず、
まわりの人间からは烟たがれる日々だった。そんな境遇で育ったカルナだが、彼は母や周りを
恨まなかった。むしろ全てを肯定していた。「俺が生を受けたのは父と母あってこそ。
母がどのような人物であれ、俺が母を贬める事はない。
俺が恨み、贬めるものがあるとすれば、
それは俺自身だけだ」カルナはその外见とは裏腹に、
优れた徳と悟りを得た子供だった。
神の子でありながら天涯孤独の身であったからだろう。
カルナは弱きものたち、
その生と価値を问う机会に恵まれた。
その结论として、彼は自らの洁癖さを贯く道を选んだ。「人より多くのものを戴いて生まれた自分は、
人より优れた“生の证”を示すべきだ。
そうでなければ、力なき人々が报われない」カルナにあるものは父の威光を汚さず、
报いてくれた人々に耻じる事なく生きる信念だけ。
“冷酷、无慈悲ではあるが、同时に尊厳に満ちている”
カルナのスタンスはこうしてかたちどられた。 ◆ そうして青年に成长したカルナは、
クル族の协议会に参加する。
协议会ではパーンダヴァ五兄弟がその武芸を夸り、
名声をほしいままにしていた。
特に三男アルジュナの弓の腕は素晴らしく、
谁もかなう者はいないと讃えられた。场がパーンダヴァを讃える声で一色になった时、
カルナは飞び入りで参加し、
アルジュナと同格の武芸を披露する。(余谈だが、消极的なカルナがなぜアルジュナと
竞おうとしたかは伝说上でも不明とされている。
谁も羡まない、谁も恨まないカルナが唯一意识した相手が
アルジュナである理由は、后に判明する事になる)カルナは优劣を决しようとアルジュナに挑戦する。
が、王族であるアルジュナに挑戦するには
クシャトリア以上の资格が必要となる。(※クシャトリア……
カースト制度でいう武门、王族。
カルナはヴァイシャ(商人)、
あるいはシュードラ(奴隷)だったと思われる)身分の差から挑戦を断られ、笑いものにされるカルナ。
そんなカルナを救ったのはパーンダヴァと対立する一族、
カウラヴァ百王子の长兄、ドゥリーヨダナだった。彼はカルナを気に入り、その场で王として迎え入れる。
こうしてカルナは不名誉から救われたが、
カルナの出世を闻きつけた养父が现れ、
カルナの出自が判明してしまった。パーンダヴァ五兄弟は自分たちより上の武芸を
见せたカルナをさらなる笑いものにする。
“御者の息子风情が耻を知れ”と。カルナはこの言叶に激怒した。
自分の事ならあまんじて受けるが、
养父を侮辱された事は闻き逃せない。
……たとえそれが欲にかられて名乗り出た
养父だとしても、カルナにとっては自らを
育ててくれた夸るべき父だからだ。カルナと五兄弟の対立はもはや引き下がれないものと
なるが、日没を迎え、协议会は幕を下ろした。以后、カルナは自分を救い、王として扱ってくれた
ドゥリーヨダナを友とし、
彼らカウラヴァ百王子の宾客として生きる事になる。
その先に待つ、パーンダヴァ五兄弟―――
大英雄アルジュナとの过酷な戦いを理解した上で。 人物背景Ⅱ
カルナが武人として弓を预けるカウラヴァ百王子と、
アルジュナを笔头とするパーンダヴァ五兄弟の対立は
激しさを増し、最终的には领地をかけての戦となった。この戦をクルクシェートラの戦いと呼び、
カルナはこの戦でその命を终える事となる。 ◆ カルナはカウラヴァ百王子を、ひいてはドゥリーヨダナを
胜たせる为にその力を振るい続けた。
パーンダヴァ侧でカルナに対抗できるのはアルジュナだけ
であり、そのアルジュナをもってしてもカルナとの
直接対决は死を覚悟しなければならないものだった。いくつかの冲突、因縁、憎しみ合いを経て、
両阵営の戦いはクルクシェートラに到达する。
ことここに至って、
カルナの母・クンティーは最后の赌けにでた。
カルナに自らの出自を明かし、
パーンダヴァ阵営に引き入れようと考えたのである。クンティーはアルジュナの従者にして友人・クリシュナに
のみ事情を明かし、二人だけでカルナと面会する。クンティーは自分がカルナの母である事を明かし、
実の兄弟で戦う事の无益さを涙ながらに语り、
アルジュナたちと共に戦い、
栄光を手にするべきだと说得した。カルナは宿敌アルジュナの友人であるクリシュナに
礼を欠かさず、また、母の说得を静かに闻き入れた。
その后に、「贵女の言叶は分かった。兄弟たちと手を取り、
正しい姿に戻る。
それはなに一つ欠点のない、光に満ちた物语だろう」では、と喜ぶクンティーに対し、
カルナはなお静かに言叶を続ける。「だが、一つだけ答えてほしい。
贵女はその言叶を、遅すぎたとは思わないのか」母と名乗るのが遅すぎた。
カルナを省みるのが遅すぎた。
それを耻と思わないのであれば、どうか答えてほしい。
―――母を名乗る贵方が、自らに何の负い目もないという
のなら、自分も耻じる事なく过去を受け入れる、と。クンティーは身胜手な女ではあるが、
それも生来の天真烂漫さ、无邪気さからくるもので、
决して耻を知らない女ではない。
彼女とて自らの行い……
自分のために生まれたばかりのカルナを舍てた事……
が我欲に満ちたものだと自覚、自责はあった。なればこそ、彼女にも最低限の夸りはある。
今まで独りで育ち、养父たちに感谢し、何の憎しみも
抱かないカルナに、丑い嘘だけはつけなかったのである。クンティーは答えられず、交渉は决裂。
うなだれて立ち去るクンティーにカルナは告げる。「それは欺瞒、独りよがりの爱だ。
アナタの爱で救えるのは、アナタだけだ。
アナタの爱はアナタにしか向けられていない。
だが―――」「その気持ちに応えよう。
以后、戦において俺に及ばぬ兄弟を仕留める事はない。
俺が全力を尽くすのは、我が宿敌アルジュナだけだ」五兄弟のうち、実力の劣る他の兄弟には
手を出さないとカルナは誓う。
これ以后、カルナは几度となく五兄弟を
见逃すのはこの誓いからである。「自ら手にした场所へ帰るがいい。
……一度だけだが。
息子と呼ばれた事には、感谢している」馆の门を闭め、クンティーを送り出すカルナ。
それはカルナなりの母亲・クンティーへの爱。
いまさら母恋しでもないが、最后に「母亲としての情」に
诉えたクンティーの覚悟……それが真伪さだからぬものと
しても……に、彼は応えたのだ。
クンティーは自らの过去を明かす、という危険を冒した。
施しの英雄であるカルナにとって、
その决意は酬いるに値するものだったのだ。 ◆ そうして、最后の戦いの直前。
カルナの懐柔はできないと悟ったアルジュナの父、
雷神インドラはバラモン僧に化けてカルナと接触し、
彼から黄金の铠を夺った。父スーリヤから授かった不死身性を失ったカルナだったが、
それでも戦いに赴く事をやめるとは言わなかった。
カルナは黄金の铠を失った时点で、
速やかに自らの破灭を受け入れたにも関わらずだ。あまりにも洁いカルナに感じ入ったのか、
インドラは何故、と问う。
アルジュナ爱しでこのような计略に走るインドラを
非难せず、铠を失い、なぜ戦场に向かえるのかと。「アナタを恨む事はない。
一枚上手だっただけの话だろう。
むしろ―――そうだな。神といえど父亲である、
というのが俺には喜ばしい」では戦いに赴くのは何故だ、とインドラ。「俺にとって败北とは、父の威光を汚す事だ。
死が待っているにしても、逃げる事はできない」なにしろ、その为だけに生きてきた。
自らを生み、育ててくれたものたちに胸を张れるように
生きてきたカルナにとって、
自らの命は、彼自身のものですらなかったのだ。「それに、ドゥリーヨダナにも恩がある。
俺はなぜか、あの厚颜で小心な男が眩しくてな。
我が父への不敬となるが、たまに、あの甘い光こそが、
日の暖かさだと思うのだ」カルナの背负う太阳の火ではなく、
绝対的なスーリヤの辉きでもなく、
人间が见せる不完全な魅力こそが太阳だとカルナは语る。その姿にスーリヤそのものの神性を见たインドラは、
自らの枪をカルナに与えた。
彼はこの高洁な英雄から命以上のものを夺った。
その见返りにあたるものを与えなければ
自らの名誉を贬める事になるし、なにより―――
己が息子にも与えなかった最强の枪を、
この男なら使いこなせるのでは、と惚れてしまったのだ。 ◆ こうしてカルナはバラモン僧を送り、铠(肉)を失い、
幽鬼のようにやせ细った姿で戦场に向かった。アルジュナとの最后の戦い。
カルナには既に味方はなく、身を任せる马车の御者すら
パーンダヴァに内通する敌だった。数々の重荷、异母兄弟である弟への感情。呪いによりカルナの马车の车轮は辙にはまり、
アルジュナの矢の弦が限界まで引き绞られる。
长く、见えない縁に操られるよう覇を竞いあった兄弟は、
ここぞとばかりに浑身の一撃を放ち合う。 ――果たして、アルジュナの弓は、太阳を撃ち落とした。 ◆ カルナは死后、父スーリヤと一体化したと言われている。
『施しの英雄』と呼ばれ、何かを乞われたり
頼まれたりした时に断らない事を信条とした圣人。非常に高い能力を持ちながら、
血の繋がった兄弟と敌対する悲剧を迎え、
様々な呪いを受け、その真価を発挥する事なく命を
落とした英雄―――それがカルナである。余谈ではあるが、
アルジュナが真相……カルナが自分の兄である事……を
知っていたかどうかは定かではない。カルナがクンティーの息子である事を知っているのは、
カルナとクンティー、クリシュナ、
太阳神スーリヤだけと思われる。