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特典《まだ何も知らない女の子》原文试译

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开始之前,你在做什么?
在一切开始之前,你在哪里,能牵到我的手吗?
在一切开始之前,你在哪里,能接住坠落的我吗?






转自 已经终末了吗很忙...吧 By 妮戈兰诺塔


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1楼2017-12-16 12:15
    我的心脏正在不安地怦怦直跳。

    会变成这样的原因我其实是明白的——我现在的行为违反了,不,是彻底将军方的相关规定砸了个粉碎。

    这所谓的相关规定的内容是【危险的兵器必须处在相关负责人的掌控之下,绝对不允许任意放置而不加约束】,总之说的就是自己这种“精灵兵器”——一般叫作“妖精兵”,是不允许擅自离开军方相关负责人的视线的。虽说平时倒也没有被那么严格地要求遵守,但也不能如现在这般堂而皇之地彻底无视掉。

    好比说威力巨大的炸弹自己长出了手脚,还跑到大街上随便乱逛——这对于在市井中经历日常的人们来说,是一件十分荒唐又骇人听闻的事,所以自然就被军方禁止了。而把这个禁忌以现在进行时打破掉的,正是这位名副其实的炸弹小姐——妖精兵,珂朵莉·诺塔·瑟尼欧利斯。

    "呜哇……"
    格里姆扎尔市,是集中了这28号浮岛上拥有最多人口的大都市。在这宽广的道路上左右望去,皆是一望无际,"人"头攒动的各类兽人。用摩肩接踵来形容毫不夸张,有的人步子大走得快,有的人驻足观望,少顷,一个不留神,肩与肩之间就会来一个亲密接触。你可能会听到一方豪爽的大笑响彻四周,而下个瞬间怒骂声就可能从另一方那里脱口而出,错愕之间,两人便扭打在了一起。

    呃…我这是来到了一个什么奇葩的地方啊,内心中掩面感叹。

    果然,这不是个适合我来的地方,内心中掩面感叹的小人脸埋得更深了。

    满溢着自责,懊恼,后悔等等感情,我用双手在兽人和兽人之间撬开了一个空隙,逃也似的跑开了一段距离。

    呼…呼…大口换气之间,一股特浓的兽人体臭灌进了肺里——呕~咳咳,呛到了…

    "呃…"

    我好像迷路了,不知道自己走在哪里,不知道要到哪里去,自己想去的地方,想看的景色,完全没有概念了。

    我仰起头将视线抬高,从高耸的建筑物的缝隙间,能看到流泻而下被隙间切割成四角形的青空。打开翅膀一股脑就那样飞上去吧——不禁涌现出这样强烈的冲动。"不行!"我狠狠地摇了摇头把这股冲动甩了出去,如果我真这么做了,那费尽心力来这里的意义就全部浪费掉了。

    不经意之间又从触感上意识到一个坏消息,外套的口袋空了——我的钱包还被人偷了……

    慌乱之中我赶忙开始确认全身上下,不幸中的大幸是只损失了外套中的钱包,预备的零钱和对我来讲意义重大的那枚胸针,还都好好地藏在里面的口袋里。

    安心地吐出一口气。

    紧绷的神经得到放松后,我的思虑又回到了刚才中断的地方,自己为什么要在这种地方一惊一乍,忽悲忽喜?事情又为何会发展成现在这个样子?自己为什么来到这片土地,又究竟是想在这里追寻什么,期待着什么呢?


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    2楼2017-12-16 12:16
      ——那是距今八十二天之前的事。

      48号浮游岛旁边的小附属岛上,飘来了一只“深潜的第六兽”。所幸那并不是多么强大的敌人,
      在护翼军第二师团和所部署的四名妖精兵的奋战下,不到半天就将之成功讨伐掉了。

      "呜…真是的…"

      珂朵莉用毛巾擦着头发,发出带着抱怨的嘀咕声。因为适才的战斗是在一片沼泽地上进行的,所以全身都和臭泥巴来了一次亲密接触。虽然战斗中是没理由还要在乎形象的,但全身湿漉漉的触感还是会单纯地带来不舒服的感觉。

      "啊哈哈哈哈哈……"
      从帐篷外传来了一阵又一阵颇有持久力的大笑声。大概,诺夫特和艾瑟雅那两个家伙在烂泥地里开始打闹了,战斗明明才刚结束,这俩人精气神真的是好呢。

      "回老家之前,我想顺路去下别的浮岛,戒指和纱巾都已经完美地准备妥当了,不过,还没搞到合适的耳饰诶。"

      突然,一阵略显浮夸的声音从旁边帐篷中漏了出来。

      "既然事已至此,就一定要让她成为最美的梦幻之鸟啊"

      是有印象的声音。确实,在这次狙击战打响的前夕,他曾说过"等这场战斗结束之后,就回老家和幼驯染(青梅竹马)结婚"的话,并在军中引起了不小的骚动。

      在世人通常的创作剧本中,经常有会从嘴里说出类似这种"我还不能死"的理由的人,然后就干脆地死掉了。这种几乎已经快要成为常识的事,在护翼军中服役的伙伴也是耳熟能详的,于是他们也作出了各式各样的反应——
      喜闻乐见式的"说这种不吉利的话干嘛,要死你就一个人死去吧,别立这种flag把我们卷进来啊!"
      为美好的新人献上祝福式的"新娘子是很可爱的类型吗?"
      以及一边嘴上警告着"安排浮岛回归路径是我的任务",一边偷偷准备贺礼的上司。

      当然,现实中这个家伙,总归是没有按照故事中既定的老套剧本那样光荣牺牲。战斗就这样戏剧性地展开,然后干净利落地结束了。

      "颜色要选什么样的啊?要茶色的三重波浪款式吗?"

      "诶诶…我打算去找红色款的。"

      "吼吼?哪还有比幸福更重要的事啊"

      无法理解的话,接二连三地从外面蹦了出来。

      "梦幻之鸟…那是什么东西?"

      在我拿着毛巾和湿漉漉的头发搏斗的时候,旁边还有坐着另一位妖精兵——兰朵露可·伊兹莉·希丝特莉娅,听到我的嘀咕所以她看向了这边。

      "戒指,耳环,还有这个梦幻之鸟,珂朵莉你知道它们是什么吗?"

      "诶?……嗯,嗯~我想我此前都没有听说过呢。"

      尝试回忆了一下,果然,都不在自己的知识储备里呢。

      "求婚的话,应该是要给求婚对象准备礼物,这样的习俗是有的吧。"

      "这个…确实是有这样的说法呢"

      兰淡淡地提示着,同时拿起毛巾开始擦自己的流海。

      "你这么在意啊?啊,难道说你对结婚有兴趣吗?"

      "不是。并不是这回事,我们是…"

      黄金妖精是炸弹,炸弹之间可不分什么男女,当然炸弹也不具备恋爱和结婚的缘分。

      "大概,我吧,也许是在懊恼这样的事。为了保护这个浮游大陆群,我出生、成长、去战斗、然后消散。——然而,我们对发生在这个浮游大陆群的事,是几乎什么都不知道的。"

      “嗯……”

      内心中萦绕的那种感觉无法解释,隐隐能体会到很轻盈,很愉快。但是,如果说出来就会觉得很没道理。

      浮游大陆群很广,居住着各类不同的种族,也相应有着各种风俗习惯。


      "我们是不被允许去介意这些的吧?你看,就像牧场的羊,并不是以被吃为目的而养殖的。而我无法释怀的也不是我吃的是什么,而是活着的意义。"

      "这…或许…是这样吧。"

      兰略显不得要领的样子歪着脑袋。

      "不过放下这个不谈,珂朵莉。刚才你的比喻方式,很像妮戈兰的味道呢。"

      "嗯…好像是有点像啦。"

      需要反省一下。

      对于像自己在仓库的妖精全员来说,提到妮戈兰就会想起那个既是姐姐又像母亲的食人鬼的脸。她无疑是位值得尊敬的人,也有许多要向她学习的地方,但即使这样,果然,人和人还是存在着差异的。

      "我啊,果然还是想知道我们到底是什么,是在为守护什么而战斗,又在和什么战斗,存在的意义是什么……我的这些疑问是多余的吗?

      "不,我觉得很像兰你的风格。"

      坦率地说,必须得承认。兰虽然比珂朵莉年龄小,但举止沉着稳重,这一点上珂朵莉一直有点嫉妒。虽然珂朵莉一直在努力效仿仓库里年长的前辈们,然而目前也仅仅是学到了些表面功夫。

      “我们是为了什么而存在的啊……”

      珂朵莉喃喃地咀嚼着这个疑问。

      不,我认为这不是我应该去思考的事情。我只要想想,来自前方的恐惧就会越来越大。即使我已经知道自己的最后期限已经被决定了,但只要我什么都不考虑,什么都不顾忌地去迎接终结,那就可以不用痛苦了。

      但是,即便如此,如果……

      “给我看招!”

      “什么啊?!”

      那一瞬间,突然发生的几件事粗暴地扯断了珂朵莉的思绪。

      首先帐篷的入口被掀开,一个满身是泥的身影跳了进来。接着从她后上方,诺夫特将一团特大号的烂泥巴砸了过来。不过艾瑟雅可是一名十分训练有素的战士,察觉到背后的致命攻击后敏捷地跳向一旁躲了开去,丢失既定目标的泥巴团横穿了整个帐篷,然后——

      珂朵莉好不容易擦干净的鼻子,结结实实地中招了。

      时间静止了,气氛也瞬间凝固并降到了冰点,大家都保持着上一秒的姿态谁都不敢动,只有视线慢慢地集中到珂朵莉的脸上。

      几秒钟之后,珂朵莉深深地吸了一口气——

      "你——们——啊!!!!!!!!"


      时间又恢复流动了。艾瑟雅以迅雷不及掩耳之势逃了出去,诺夫特紧跟在她背后,兰保持着略微呆滞地面容,轻轻叹了口气。


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      3楼2017-12-16 12:17
        48号浮岛之战的对话为故事的开幕提供了契机。

        我想要亲眼所见,自己这些人在为守护什么而战。只有这样,我才能感受到自己战斗的理由。毕竟,那就是关乎到我自身存在的理由啊。

        我心中埋下了这样的念头,或者说,我意识到了,在没有和兰朵露可说及这个话题之前,这种想要确认的心情只不过是伪物,类似于假借他人的思想得到的东西。但现在它随着我的心绪变动已经根植得越来越深,变得无法忽视。

        因此,最近我的心情都不太好。

        在一次小型战斗结束后,我厚着脸皮向灰岩皮一等武官请求在归途中给我一点自由行动的时间。当然我迅速意识到了这个请求有多么的荒谬以及这个冲动是多么的不经大脑,我做好了被斥责的准备甚至其实我已经在道歉了"对不起请将我刚才的话忘掉吧",正当我准备灰溜溜地逃走时——
        "挥洒于战场之血应示以尊敬,民,务实于工者应予之酬劳,汝之请愿虽无道理,但吾当许之。"

        纵然说着这样难以理解的话,灰岩皮一等武官却面不改色地(也许其实是变了一点脸色但我没看出来)当即许可了我那荒诞的请求。

        我可以确信的是,要违反"严密监控妖精活动范围"这种规定不是那么能简单绕过去的。虽然不是毫无办法,但相应地伪造一系列文件,成员报告,甚至是飞空艇所载的负荷,这么些成套的麻烦手段肯定是少不了的。

        "真是对不起了,一等武官…"


        在抱着这样那样苦恼的心绪,真正的一个人孤零零地步行在格里姆扎尔市的街道上,珂朵莉意识到实际情况比她想象中的景象要喧闹得多。

        各种嘈杂的声音折磨着耳膜

        没有安全感

        好害怕

        真的对浮游大陆一无所知啊,我。

        我筋疲力尽地路旁的长椅上坐下来,啊…别说继续走了,现在真是连站都不想站起来。吐了一口气,我就这样呆呆地看着天空,宝贵的自由时间就这样随着我毫无意义的行为一分一秒地流逝掉了。

        喉咙好干,想喝东西,我这么想着。

        我用一顶薄兜帽罩住了自己的脑袋,决定去找点喝的润润干渴的喉咙。我记得刚才看到有小摊在卖鲜榨果汁来着,兽人和妖精的味觉应该相差不大,所以应该是我也可以接受的东西了。为了确认还剩余的钱款,我小心翼翼地从外套里面的口袋取出预备用的钱包。

        "叮",伴随着取出钱包的动作,响起了一个小小的声音,我顺着声音来源寻向地面。

        原来是那枚胸针从口袋里掉出去了。

        "啊"

        在阳光的照射下,蓝色的宝石熠熠生辉。

        天呐,这可是我最宝贵的物件了,得赶紧把它放回口袋里,可千万不能把它也弄丢了。我这么想着,赶紧伸手去捡。

        就在这时,旁边茂密的灌木丛发出窸窸窣窣的声音,一个黑色的影子从中跳了出来。

        珂朵莉伸出去的手并没有碰到任何东西。

        "诶?!"

        那是一只小小的黑猫。

        就在我的眼睛刚确认了黑影是什么东西的下个瞬间——黑猫"唰"地一下就跑了出去,只看到它嘴里还有一道亮闪闪的光。霎间,我还没意识到发生了什么,然后我慢慢看向了自己原本伸出去的手,手和伸向的地方都空空的…也就是说,黑猫嘴里那道光是…

        "啊啊啊啊啊啊啊!?"

        顿时眼前一片漆黑——等不及从惊愕中完全清醒了,珂朵莉用尽全身力气"唰"地站了起来。

        然后以生平最快的速度追了出去。我一股脑地冲了出去,跑过交叉的街道,周围一晃而过的景象都顾不得去留意了。只要我稍微不留神,那只黑猫肯定会飞快地从视野中消失的。穿过各种兽人,从帐篷顶跃下,爬上墙壁跃过水渠,就这样拼尽全力地向前追,追赶着追赶着追赶着。

        啊啊,事情为什么会变成这样呢。

        后悔之意盈满心间。这样的地方,我打一开始就不该来的。我不应该想着要去了解什么事情,只是身为一个消耗品的炸弹而已,炸弹为什么还要奢望着什么东西呢,从一开始什么都没做就好了。

        "你给我——站——住啊!"

        就这样带着哭腔地喊着,珂朵莉继续追着,从以前未曾了解的场所、现在仍未可知的场所、没有看到过的光景中穿过,从各种各样的障碍物上跃过。

        我原本以为来到这里就能够体会到什么的。哪怕我来了,却仍旧没有找寻到能填补我内心空洞的答案的话,我也就会好好地放弃掉了。于是这位尚一无所知的女孩,放弃掉了去找寻什么,只是一味地追在那黑猫的屁股后面,追啊追啊追啊。

        ——在前方等待着她的有什么,在那个时刻的那位少女,还什么都想不到呢。

        ヴィ——レ——ム、ありがとう(完)


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        4楼2017-12-16 12:17

          完结撒花


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          5楼2017-12-16 12:21
            附上原版日文


            心臓が、ばっくんだっくんとやかましい。落ち着かない。

            理由は明白だ。何せいま自分は、軍のルールに思い切り背いている。

            そのルールはかみ砕いて言えば「危ない兵器はちゃんと責任者の管理下においておきましょう、決しておきっばなしにしないこと」というもので、つまり「危ない兵器」である自分たち精霊兵器......通称“妖精兵”は、相応の地位を持つ軍人から離れて行動することが許されていない。普段からあまり厳密に守られているとは言えないものではあるが、かといって、堂々と無視してよいものでもない。

            でっかい爆弾に手足が生えて、街中をひょこ勝手に歩き回る。市井に生きる方々にしてみれば、とんでもない話である。だから禁じられている。その禁忌を、妖精兵にして爆弾であるクトリ·ノタ·セニオリスは、現在進行形で犯している。


            「うわぁ……」グリムジャル市。28番浮遊島随一の人口を誇る、大都市である。右も左も、見渡す限りの獣人、獣人、獣人。決して広いわけではない道いっぱいに、樣々な獣人が行き交っている。早足の者もいれば、立ち止まっている者もいる。少し気を抜けば、すぐに肩と肩とがぶつかり合う。右から豪快な笑い声が聞こえたかと思うと、次の瞬間には左から怒声が聞こえて、気が付けば左右両方で殴り合いの喧嘩が始まっている。

            とんでもないところに来てしまった、と思う。

            やはりここは、自分なんかが来ていい場所ではなかったのだ、とも思う。

            自責やら後悔やらを山盛りで抱えながら、獣人と獣人の隙間を両手でこじ開け、少し開けたところまで出る。

            ぷはぁ、と大きく息を吐く。特濃の獣臭が肺を満たす。少しむせる。

            「うー......」

            自分がいまどこにいるのかがわからない。目の前の道を行って、どこへ出るのかもわからない。行きたかった場所、見たかった景色への道筋がまるでわからない。

            視線を上げる。背の高い建物の隙間、四角く切り取られた蒼空が見える。翼を広げ、あそこまで飛びたい——こみあげてきた衝動を、ぶんぶんと首を振って振り払う。それはダメだ。それをやったら、色々と無理を通してここまで来た意味が、なくなってしまう。

            ふと、外套のポケットが空になっていることに気づく。財布を掏られた。

            「!」

            慌てて全身を確認する。不幸中の幸いと言っていいのか、被害は財布ひとつきりだった。予備の小銭入れも、あと大切なプローチも、ちゃんと隠しポケットの中にある。


            安堵の息を吐く。

            続けて、自分はどうしてこんなことに一喜一憂しなければいけないのだという、理不尽な思いに駆られる。そして思い返す。どうしてこんなことになったのか。自分は何を求めて、何を考えてこの地を踏むに至ったのだったか。


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            6楼2017-12-16 12:22
              ——あれは、今から八十二日前のことだった。

              48番浮遊島近くの小浮遊島に、一匹の<深く潜む六番目の獣>が漂着した。幸いそれは大した強さのものではなく、護翼軍第二師団および妖精兵四名の奮迅により、半日もかからずに討滅された。

              「うー......すっかり、ベしょべしょ」

              クトリはタオルで髪を拭く。沼沢地での激戦だったせいで、全身が泥に塗れている。見た目を取り繕わないといけない理由があるわけではないが、濡れたままでいるのは単純に不快だ。

              ぎにゃーやりやがったっすなー、という声が天幕の外から聞こえてくる。あははははは、という楽しげな笑い声が後に続く。たぶん、ノフトとアイセアが泥をかけあっているのだろう。戦闘が終わったばかりだというのに、元気なことだ。

              「故郷に戻る前に、寄りたい浮遊島あるスヨ。リングとネットは完璧なんスけど、まだ、合うラダー見つけてないデシテ」

              ふと、隣の天幕から、そんな浮かれた声が漏れ聞こえてきた。

              「どうせなら、最高のユメトリにしてやりたいスから」

              覚えのある声だった。確か、今回の戦いが始まる寸前に、「俺、このあと故郷に帰ルたら、幼馴染みと結婚するスヨ」などと言い出して騒ぎを起こしていた兵士だ。

              世間の創作物語の中では、そういう「死ねない理由」を口にした者から順番に死んでいくことが多い。その場の誰もがそれを知っていて、そして様々な反応を返した。縁起でもねえ死ぬなら一人で死ね俺らを巻き込むな、と騒ぐ者。おめでとう式には呼べよ嫁さんかわいいのか、と素直に祝福する者。「浮カレルナ、帰参スル迄ガ任務デアル」と厳しく戒めながら、こっそり、祝いの品の手配をする上司。

              もちろん、現実というやつは、そういった物語的な定石を無視して動く。戦いはこうして、ドラマチックな展開を何ひとつ経ずに、無事に終わった。

              「色はどうするつもりだ? やっぱ茶色に白の三重波か?」

              「へへ、赤を探してみるつもりス」

              「ほおう?そりゃまた幸せそうで何よりだ」

              知らない言葉が、ぽんぽんと次から次へと飛び出してくる。

              「ユメトリ……とは何でしょう?」

              すぐ隣。同じようにタオルでわしわし髪をやりながら、もう一人の妖精兵-ラ-ントルク·イツリ·ヒストリアがこちらを見ている。

              「リング、ラダー。そしてユメトリ。クトリは知っていますか?」

              「え?……う、ううん。聞いたことない、と思う」


              思い出そうとしてみる。が、やはり、自分の知識の中にはないように思う。

              「プロポーズするときに、相手の人にプレゼントするモノとかじゃないかな。そんな流れの話だったでしょ?」

              「それは……確かに、そういう会話ではありましたが」


              淡々と答えながら、ラーントルクはタオルで何度も前髪を拭く。

              「そんなに気になるの?あ、もしかして結婚に興味ありとか?」

              「いえ。そういうものではないでしょう、私たちは」

              黄金妖精は爆弾。爆弾に男も女もなく、もちろん恋愛や結婚にも縁はない。

              「......たぶん私は、ただ、悔しがっているんだと思います。浮遊大陸群を守るために生まれ、育ち、戦い、散って。——だというのに、私たちはその浮遊大陸群のことを、何も知らないのだと。そう、思い知らされて」

              「うーん」

              その感覚も分からないでもない、ような気はする。けれど、言い出したらきりのないことのような気もする。

              浮遊大陸群は広いし、いろんな種族が住んでるし、いろんな風習がある。


              「わたしたちが気にしちゃいけない、んじゃないかな?ほら、牧場の羊って、食べられるために生まれて育てられるわけじゃない。でも、自分を食べるのは誰なのかなんて気にしないで生きてるし」

              「それは......そういうもの……かも、しれませんが」

              納得できていない様子で、ラーントルクが首をかしげる。

              「それはそれとして、クトリ。今の喩え方、ナイグラートのようでした」

              「……うん。ちょっとだけ、自分でもそう思った」

              反省しようと思う。

              自分たち妖精全員にとって姉のような母のような存在である喰人鬼の顔を思い出す。尊敬できる人物であることは間違いないし、見習いたい側面もいろいろとある。が、それでもやはり、似たくない部分というやつもあるわけで。

              「私はやはり、自分が何をしているのかを、知っておきたい。何を守っているのか、何と戦っているのか、何のために存在しているのか。……余計な衝動と思いますか?」

              「ううん。ラーンらしくていいなって思う」

              素直に、そう思う。ラーントルクはクトリよりもひとつ年下だが、落ち着いていて思慮深い。少し嫉妬もする。年長者らしい振る舞いを日ごろから心がけているクトリだが、心がけなければいけない時点でそれは鍍金にしかならないのだから。

              「わたしたちが、何のために存在してるのか、かぁ……」


              そのひとことを、自分でも改めて、口にしてみる。

              考えるべきではないことだ、とは思う。考えれば考えるだけ恐怖が膨らむだけだ、とも思う。今さら何をどう知ったところで、自分たちの最期は決まっているのだ。何も考えず、何も抱えずに終末を迎えたほうが、苦しまないで済むはず。

              けれど、それでも、もし——

              「うりゃたあー!」

              「なんのおっ!」

              その瞬間。クトリのその思索を遮るように、いくつかのことが起こった。


              まず天幕の入口が跳ね上げられ、泥まみれのアイセアが飛び込んできた。その背中に、ノフトが特大の泥玉を投擲した。練達の戦士であるアイセアがその攻撃を察して横っ飛びに回避、泥玉は目標を捉えられずにそのまま天幕を横断、ベちゃり。

              ようやく汚れが落ちたばかりのクトリの鼻の頭に、きれいに着弾した。

              時が凍り付いた。誰もが微動だにせず、そのままの姿勢で、視線をクトリに集めた。そのまま幾秒かの時が流れる。クトリは大きく息を吸い込んで、
              「きみたちいー!」

              時が動き出す。アイセアが逃げ出し、ノフトがその背を追い、ラーントルクは呆れたように小さく息を吐く。


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              7楼2017-12-16 12:23
                あのやりとりが、きっかけだった。

                自分たちが何を守って戦っているのかを、见てみたい。それを通して、自分たちが何のために戦っているのかを感じたい。それはそのまま、自分たちの存在する理由そのものであるはずだから。

                そんな思いを抱いてしまった。あるいは、気づいてしまった。ラーントルクに言われるまでは考えもしていなかったはずの、借り物の冲动。けれど気がついた时には、それは心の中で、无视できないくらいに大きなものになっていて。

                だから、気まぐれを起こしてしまった。

                小さな戦闘からの帰り道、自由时间をくれないかと"石灰岩ノ肌"一位武官に頼み込んでみた。もちろんそれが无茶な愿いであることは承知していたし、通るはずのない我尽だということも理解していたし、跳ねのけられることも怒られることも覚悟していたし、言い终わってすぐに「すみません忘れてください」とその场を逃げ出そうとすらしたのだけど、「流シタ血ハ敬ワレルベキデアリ、働カラハ酬ガ生ズルモノダ。コレハ摂理デコソナイガ、守ラレルベキ道理デハアロウ」

                そんなよくわからないことを言いながら、"石灰岩ノ肌"一位武官は、无茶で通るはずがなかった愿いを、颜色ひとつ変えずに(変わっていたとしても见分けはつかなかっただろうけれと)闻き届けてくれた。

                もちろん、妖精を野放しにするなどというルール违反は、简単に通せる话ではなかったはずだ。たぶんではあるけれど、书类を改窜したりお目付け役への报告をごまかしたり飞空艇の积荷チェックをやり过ごしたりと、危ない桥をいくつも渡る必要があったはず。

                「ごめんなさい、一位武官......」

                そんな迷惑をかけてまでたどり着き、実际に一人で歩いたグリムジャル市は、クトリが想像していたよりも遥かに赈やかで騒がしくて、恐ろしげで危ないところだった。自分たちは本当に浮游大陆群のことを何も知らなかったのだと思い知る。

                道端のベンチに、腰を落とした。そこで、気力が尽きてしまった。また歩き出すどころか、立ち上がる気すら起きなくなった。息を吸ったり吐いたり。ぼんやりと空を见上げたり。贵重なはずの自由时间が、そんな无为な动作に削られ、减ってゆく。

                ちょっと喉が渇いたな、と思った。

                霭のかかったような头で、何か饮むものを探そうかなと考える。确か、さきほど见かけた屋台で、榨った果汁を売っていた。獣人の味覚は妖精のそれと大きく离れていない。あれはきっと自分にもおいしく饮めるはずのものだ。残金を确かめようと、のろのろとした动作で、隠しポケットから予备の财布を取り出す。


                かつん、という小さな音。见下ろす。


                ポケットから、ブローチがこぼれ落ちている。

                「あ」

                青い宝石が、わずかな阳光を照り返して、きらりと光る。

                いけない、と思った。拾ってポケットの奥にしまいなおさないと、と思った。大切なブローチなのだ。万が一にも无くすわけにはいかないのだ。だからすぐに、手を伸ばした。

                近くの茂みががさりと鸣って、黒いものが飞び出してきた。

                クトリの指が、空を掻いた。

                「え」

                小さな黒猫。

                目が合った……と思った次の瞬间には、弾かれたように黒猫は走り出していた。その口元に、青く光るものが见える。一瞬それが何を意味するのかがわからず、クトリは自分の手元を确かめてしまう。何もない。つまり、あの青い光は、ええと。

                「あ......ああ!っ!?」

                目の前が真っ暗になる——のを最后まで待たず、クトリは全力で立ち上がった。

                そして走り出す。入り组んだ街并みを、ただただひたすら駆け抜ける。周りのことは目に入らない。あの黒猫は素早い、少しでも気を抜けばすぐに视界から消えてしまうだろう。通りすがりの獣人を跳ね飞ばし、いくつもの天幕を蹴とばして、壁を登り樋を駆けて、ただひたすらに前へ前へと、駆ける駆ける駆ける。

                ああ、どうしてこんなことになったんだろう。

                后悔が心を満たす。こんなところ、来るべきじゃなかった。何かを知りたいなんて、思うべきじゃなかった。ただの爆弾に过ぎない自分が一丁前に何かを望むなんてこと、最初から、しなければよかったのに。

                「まあーちなさぁいー!」

                泣きそうになりながら、クトリは走る。跳ねる。いろいろなものを飞び越える。知らない场所を、知らなかった场所を、见たことのなかった光景の中を。

                ここに来れば、何かがわかるかもしれないと思っていた。ここにいても、これ以上何もわからないのだと谛めた。まだ何も知らない女の子は、何かを知ることを谛めて、ただひたすら猫のお*を追いかけて、走って走って走って。

                ——その先に何が待っているのかを、この时の彼女は、まだ知らない。


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                8楼2017-12-16 12:24


                  最终的最后——
                  问尔所之,是否如适。 Are you going to Scarborough Fair?
                  蕙兰芫荽,郁郁香芷。 Parsely sage rosemary and thyme.
                  彼方淑女,凭君寄辞。 Remember me to one who lives there.
                  伊人曾在,与我相知。 She once was a true love of mine.
                  嘱彼佳人,备我衣缁。 Tell her to make me a cambric shirt.
                  蕙兰芫荽,郁郁香芷。 Parsely sage rosemary and thyme.
                  勿用针砧,无隙无疵。 Without no seams nor needle work.
                  伊人何在,慰我相思。 Then she will be a true love of mine.

                  彼山之阴,深林荒址。 On the side of hill in the deep forest green,
                  冬寻毡毯,老雀燕子。 Tracing of sparrow on snow crested brown.
                  雪覆四野,高山迟滞。 Blankets and bed clothers the child of maintain
                  眠而不觉,寒笳清嘶。 Sleeps unawafe of the clarion call.

                  嘱彼佳人,营我家室。 Tell her to find me an acre of land.
                  蕙兰芫荽,郁郁香芷。 Parsely sage rosemary and thyme.
                  良田所修,大海之坻。 Between the salt water and the sea strand,
                  伊人应在,任我相视。 Then she will be a true love of mine.

                  彼山之阴,叶疏苔蚀。 On the side of hill a sprinkling of leaves
                  涤我孤冢,珠泪渐渍。 Washes the grave with slivery tears.
                  惜我长剑,日日拂拭。 A soldier cleans and polishes a gun.
                  寂而不觉,寒笳长嘶。 Sleeps unaware of the clarion call.

                  嘱彼佳人,收我秋实。 Tell her to reap it with a sickle of leather.
                  蕙兰芫荽,郁郁香芷。 Parsely sage rosemary and thyme.
                  敛之集之,勿弃勿失。 And gather it all in a bunch of heather.
                  伊人犹在,唯我相誓。Then she will be a ture love of mine.

                  烽火印啸,浴血之师。 War bellows blazing in scarlet battalions.
                  将帅有令,勤王之事。 Generals order their soldiers to kill and to fight for a cause.
                  争斗缘何,久忘其旨。 They have long ago forgoten.
                  痴而不觉,寒笳悲嘶。 Sleeps unaware of the clarion call.


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                  9楼2017-12-16 12:28
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                    来自Android客户端10楼2017-12-16 12:36
                      哇,已经踏足翻译领域了啊


                      收起回复
                      来自Android客户端11楼2017-12-16 12:45


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                        来自iPhone客户端12楼2017-12-16 12:56
                          高质量贴!


                          收起回复
                          来自Android客户端13楼2017-12-16 12:57
                            如果已经获得了原译者授权可以加精


                            收起回复
                            来自iPhone客户端14楼2017-12-16 13:01
                              感谢


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                              来自Android客户端15楼2017-12-16 15:03