買ったことのないアイテムは、[時計][懐中電灯][磁石][ダンボール]だ。レベル8で新たに登場したアイテムは、[剃刀]だった。価格を見ると等級がかなり高いアイテムはない。
だから、やはり[ガチャ]のアイテムが重要になってくる。
それでも、強化はしないと。
[睡眠スプレー]はこれ以上強化できなかった。それなら、[睡眠の日]を得た状態が睡眠スプレーの最高の状態なのか？
[包帯]は[強化4]が可能だった。400万円を費やして包帯を強化した。
そして、レベル8では[無形剣]の強化が可能になった。無形剣の[強化3]の価格はちょうど2億だった。[強化2]が1億で2倍ずつ高くなるから、まあ当然の流れ。無形剣の強化は、とにかく[強化アイテム]を引いて強化した方が得だ。
整理は終わった。あとは、2億のうち1億5千万円ほどを[ガチャ]に投資することだけが残った。九空と接触さえすればいいという意味だ。
そうとは言え、電話に出ないためどうすることもできず。ひとまず攻略対象でも探そうと思い、[セーブ]した後に繁華街の方へ移動した。
ぽつぽつ。
そんな中、雨が降りだした。
瞬く間に雨足が街を蚕食する。何で突然雨が降るんだという天気。傘がないため、もちろん体が濡れる。雨を避けようと走り始めた。どこか建物にでも入って雨をしのぐつもりで。
－ウウゥゥゥウウゥ～
繁華街の周辺は何だか騒がしかった。パトカーが駆け回っている。パトカーだけではない。制服警察官も相当数が街を歩き回っていた。
突然降ってきた雨にもなりふり構わず。
つまり、巡察ではなく、何か事件が起きて配置された警察という意味。
さらに、警察の動きがとても積極的に見えた。ビル爆破事件の時とは違う。あの時は、上からの圧力が働いたため、警察があんな風に検問をしながら駆け回りはしなかった。
そんな街が物騒がしい中、歩いていた路地、ビルとビルの狭い隙間。その暗い場所にうずくまっている1人の女がいた。突然雨が降りだしたので、俺と同じくらい雨に濡れて濡れ鼠になっていた。

暗闇に隠れてうずくまっている姿を見たところ、雨を避けているわけではない。なぜなら。あのビルの路地には雨をしのげるものは何1つないから。
見たからに怪しい。露骨に怪しい。当然、[スカウター]を使った。
会浦穂之華(あいうらほのか)
年齢：22歳
彼氏：なし
職業：キャバ嬢
攻略難易度：B
居住地：ソウル市OO洞OO区
電話番号：000-000-000
攻略情報：銀座のホステス。遠くから見よ。そうすることで開ける。
好感度：0
レベル8になると、難易度Bの攻略情報が全部表示された。難易度Bの居住地はレベル不足により消されていたのに。
まあ、それはそうとして……。攻略情報は、遠くから見ろって？
今、彼女を見ている距離も十分に遠い。遠くから見れば、ただスタイルがいい女としか全く思わない。さらに、服がワンピースだ。どんなワンピースかというと、主にキャバクラで着る類の胸元が開いたワンピース。
おかげで、雨にまで濡れて体つきがあらわになっていた。
うずくまっているため、無駄に太ももが目立つ。
いや。今そんな感想を言っている場合ではない。本当に無駄に発動する男の本能だ。
攻略情報が本当に言葉どおり遠くから眺めろという意味なはずがないじゃないか。比喩だろう。
とにかく、攻略のために接近した。
「ちょっと。大丈夫ですか？」
すると、雨にびしょ濡れになって髪の毛からしたたり落ちる水滴を流していた女が驚いて立ち上がった。うずくまっていたため顔は今見るが、可愛い顔といえば可愛い顔だ。揺愛という独歩的な存在を隣に置いて生きているおかげで感覚が鈍ったようだが、一般的に可愛い顔であることは確かだった。
近くで見ると、ワンピースには全く似合わない男性用のかばんを背負っていた。斜め掛けのスポーツかばんだ。
特異点といえば、ワンピースが血で染まっているということ。
「け、警察ですか？」
「いいえ？」

俺がそう言うと、会浦は俺の後ろの路地の外へ出て行こうとした。めちゃくちゃに建てられたビルの間にできた行き止まりの路地のため出口は1つだ。そのように俺を通り越して路地の外へ出て行こうとしていた女が、突然振り向いて俺の方に走ってきた。
何か見たんだろう。いや、正直に言って目に見えている。警察を見て戻ってきたのだろう。
会浦は、そわそわしながら俺を見上げた。
「す、すいません！ちょっと恋人のふりをしてください！」
会浦はそのように俺の唇にキスをした。雨が降る最中、無駄に情熱的なキスが始まった。雨が唇に触れる。雨水の味が感じられるキスだった。これをそのまま振り切るのもなんだ。何だか何もしていないのに攻略対象が警察に捕まるのは何だが違うような気がするから。
－面白いな。雨まで降ってるのにラブホでやれよ、盛りがつくな。俺たちはかなり苦労してるっていうのに。
－シーッ。聞こえるだろ。
通りすがりの警察の対話が聞こえてきた。そこで、ひとまず会浦をもっと抱き寄せた。警察はそう言いながら消えた。警察が通り過ぎると、会浦は唇を離して頭を下げた。
唇と唇だけが触れただけの軽いキスだ。
「すいません、ありがとうざいます！」
その言葉を残して、女は警察が通り過ぎた反対方向に走って行こうとした。どう見ても逃亡者の気配を出してる。
「そこ、待ちなさい！」
しかし。こんな雨の中でのキス、そして会浦の人相着衣が怪しいと思たのか、戻ってきた警察が叫んだ。逃げていた会浦が雨水で滑って転ぶ。
やれやれ。
そんな会浦のもとへ駆けつけた。そして、さっと抱き上げた。
「あなたは……？」
「静かに。捕まったら困るんですよね？」
「そ、それはそうなんですが……」
もちろん捕まってはならない。足に衝撃があって今は歩くのも大変そうに見えるため、会浦をさっと抱き上げて走り出した。体力数値は2000だ。黒いボールの中で片手で九空を持ち上げたり下ろしたりするくらいの筋力がついた状態だから、会浦を抱えて走るのも何の問題もなかった。
そうとは言え、ただ逃げるのは無駄な追撃戦だ。会浦を抱えて走ってる中、後ろの警察にそれぞれ[睡眠スプレー]を使った。
そして、[睡眠スプレー]は続いた。
繁華街を抜け出す検問も会浦を抱えた状態で突撃した。

「目を閉じてください！」
「め、目はどうして？」
「捕まりたくなければ閉じて。今は危険です！」
検問を突撃、それぞれ[睡眠スプレー]を使った。そのように繁華街を完全に抜け出して、会浦を下ろした。
「あなたは……。う、牛ですか？」
「牛？」
「私を抱いて、警察をあんな風に振り切るなんて……！」
「そんなことはどうでもいいじゃないですか」
「そ、そうですね！足の痛みもとれてきたから、ここからは1人で行きます！」
「え？」
「ありがとうございます。でも、ずっと私に関わっていたら、あなたも犯罪者になってしまいます！」
女はそう言うと、かばんを背負ったその状態で繁華街から遠くへ走りだした。もちろん追いかけようとしたが、その時、携帯が鳴りだした。
もう非通知ではない。俺が買ってあげた携帯のおかげで九空と堂々と浮かび上がる、その名前。
複雑な状況で、会浦のもとに駆けつけた。そして、[睡眠スプレー]を使って抱き上げる。
そんな状態で彼女をおんぶしてから電話にでた。
そのまま逃げるたら100パーセント捕まる。しかし、電話にも出なければならない。九空の電話だから。
だから、両方するにはこうするしか。
「出るのが遅い。堪忍袋の緒が切れる直前だったわ」
「あ、ごめん。新しく買った携帯にまだ慣れてなくて。お前が壊したから……」
「うるさい。それより、電話した？不在着信って表示があるんだけど？」
「したよ。出なかったから切ったけど。それでさ、今どこ？」
攻略に突入したようだから、尚更[ガチャ]をすべき状況。
「移動中だった。出張があるの」
「あ、そう？じゃあ、今忙しい？出張先はどこ？何日間？」
「待って、おじさん……」
「私がおじさんにどこに行くのかいちいち報告する必要がある？とでも言うつもりか？」
「……知っておきながら何で聞くのよ」
「どこに行くのかは重要じゃないんだけど、近くにいるならちょっと会えないかな？あ、この間みたいに会いたいって私が行かなきゃいけないわけ？とか言わずにさ。そんな返事はつまんない。お前の言う通りに解釈すると、退屈とでもいうか？虚を突く部分が全くなくて？」
「おじさん……。そこを動かないで」
ブチッ。
電話が切れた。少し怒ったようだった。かっとなって電話を切った感じというか？

会いたいから来いというのもいつも通るわけではないということだ。同じ方法なら通じず、つならないが。
とろこで、怒らせすぎたか？
でも、これなら確実に来るには来るだろうから。
それなら。
俺は家に走った。そして、会浦を寝かせて再び家から出てきた。携帯の位置追跡でもしているようだから、この辺に来るだろう。お怒りの方が。
そこで、街に出て待っていると、黒のセダンが現れた。かなりのスピードで近づいてくる。そのセダンは、間もなくキィーッ！と俺の前に止まった。それこそ突進してくる勢い。
そのおかげか、サイレンの音が聞こえなくなった。渋滞するから前でぐずぐずしてないで全員引き下がれと言ったのではないだろうな？
そんな想像をそっと肯定する顔。だから、怒った顔で九空が車から下りた。
怒った顔だ。
それでも。黒化ではない。黒化の時の表情を考えれば、これは可愛いもんだ。
あえて定義するなら、この表情は可愛く怒った表情？
警護員が傘を持ち九空がその下で歩いて来ると、俺の姿を見て眉間を狭めた。
「おじさん……。何ですっかり雨に濡れてるの？」
「それは、お前を待ってようと……？」

大佬!!!

真的大佬

大佬，能搞到去年作者复出时修改的96章以上的一些章节版本吗？

噢耶，大佬nb

大佬