シナリオライター
久弥直樹
Hisaya Naoki
「いいキャラクターは、台詞から生まれた」 『泣きゲー』と呼ばれるジャンルを生みだすに至った傑作を手がけ、美少女ゲームの概念そのものに変化を生みだしたシナリオライター・久弥直樹。魅力的なキャラクターや、感動を呼び起こすストーリーはどのように生まれるのか? その発想法に迫る!
◆物語なんて書いたことがなかった
――ゲームのシナリオの他、同人誌や弊誌『メカビ』でも小説を発表されています。両方を経験されてきた久弥さんですが、小説とシナリオって何か違う部分はあるんでしょうか。
■僕の場合、そもそも最初、シナリオから入ってるんですよ。だからシナリオを書く時に、小説との違いを意識して書いたことは実は一回もないんです。この仕事を始めるまでに、物語を書くことが趣味だったと言うことも一切なくて、この仕事について初めて物語を書きました。なので、あまり参考にはならないかと思うんですけど。
――書き方は本当に一から書きながら覚えたという感じですか。
■ゲームの作り方を覚えながら、シナリオの書き方も同時に覚えていきました。だからほんとに、独学なんですよ。シナリオの書き方も、ゲームの作り方も。
僕、学生の頃に、当時の友達の誘いであまり興味もなかったのにシナリオでメーカーの試験を受けて、面接まで行って落ちてるんです。それがなんだか悔しくて、また同じメーカーを受けようと思っていたのですが、結局その一前にたまたま受けたタクティクスに入社することになりました。
タクティクスというメーカーは、当時はとにかくスタッフの人数が少なくて。下積みで勉強させてというのはなくて、まだバイト扱いにも拘らず、いきなり実戦投入だったんです。その時作っていた『M00N. 』というゲームがあるんですけど、その中でもう、何キャラか担当するかたちで、ある程度いきなり書かせてもらったというか、書かされたというか、書かざるを得なくなったというか。それが初めて書いたシナリオで、僕個人としても初の創作活動になります。
◆久弥流、ストーリーの作り方
――ストーリーを考える時、気をつけているところはありますか。
■できるだけあまり他ではやらないようなことをやりたい、少しでも見る人、読む人、ゲームをプレーする人」が、意外に思うところに持っていきたい、というのはあります。
ゲーム会社にいた頃は、キャラクターの設定を考えるとき、できるだけそれまでの作品では無いような新しい試みをしてみようというのがあって。だから、体が弱い女の子なんだけど、安易に病院のシーンは出さないようにしよう、とか。それと、当時はなぜか主人公の男の子は大抵朝が弱くて、ヒロインは必ず朝起こしにくるものだ、というお約束のようなものがあったのですが、それなら逆に、女の子のほうが朝が凄く弱くて、主人公が毎日頑張って起こす展開にしよう、とか。それま」でに創作活動をしていなかったから、逆に思いついたことを購賭せずに全部試してみよう、という勢いはありました。思いついたことが、定番とは外れていても、自分で面白いと思えることなら全部取り入れてみよう、と。
なので、書き始める前と書き終えた後では、自分でも意外なキャラクターに成長していることが多いです。この『メカビ 』に載っている小説も、それほど長い時間でも無いのに、プロットの時点で考えていたヒロインと今のヒロインではかなり変わりました。
そもそも、キャラクターの性格や具体的な行動は、僕の場合、最初はあまり決めないようにしています。特にゲームの場合は開発が長丁場で、開発期間中はそのキャラクターとずっと付き合っていくことになるんですが、キャラクターも書いていくうちに少しずつできてくるんですよ。だから最初は思いも寄らなかったような性格とか、突拍子もない行動が自然に出るんですよね。そうなってくると、やっと話が進み始めるというか、書きやすくなってくる。
ゲームの場合、まず企画会議があって、こんなキャラクターなんですってイメージを共有して、原画さんにデザインしてもらうわけなんですけど。その後ゲームの開発がどんどん進んでいって、デバッグの段階になると、スタッフさんから「思ってたのと喋り方が違う」とか「こんな性格だったんだ」って言われることが多かったんです。それはつまり書いてるうちに少しずつ変わっていくってことなんですよね。より、本物っぽくなるというか、キャラクターが生きてくるというか。なので、キャラクターが勝手に動き始めたら、あとは動くにまかせます。
久弥直樹
Hisaya Naoki
「いいキャラクターは、台詞から生まれた」 『泣きゲー』と呼ばれるジャンルを生みだすに至った傑作を手がけ、美少女ゲームの概念そのものに変化を生みだしたシナリオライター・久弥直樹。魅力的なキャラクターや、感動を呼び起こすストーリーはどのように生まれるのか? その発想法に迫る!
◆物語なんて書いたことがなかった
――ゲームのシナリオの他、同人誌や弊誌『メカビ』でも小説を発表されています。両方を経験されてきた久弥さんですが、小説とシナリオって何か違う部分はあるんでしょうか。
■僕の場合、そもそも最初、シナリオから入ってるんですよ。だからシナリオを書く時に、小説との違いを意識して書いたことは実は一回もないんです。この仕事を始めるまでに、物語を書くことが趣味だったと言うことも一切なくて、この仕事について初めて物語を書きました。なので、あまり参考にはならないかと思うんですけど。
――書き方は本当に一から書きながら覚えたという感じですか。
■ゲームの作り方を覚えながら、シナリオの書き方も同時に覚えていきました。だからほんとに、独学なんですよ。シナリオの書き方も、ゲームの作り方も。
僕、学生の頃に、当時の友達の誘いであまり興味もなかったのにシナリオでメーカーの試験を受けて、面接まで行って落ちてるんです。それがなんだか悔しくて、また同じメーカーを受けようと思っていたのですが、結局その一前にたまたま受けたタクティクスに入社することになりました。
タクティクスというメーカーは、当時はとにかくスタッフの人数が少なくて。下積みで勉強させてというのはなくて、まだバイト扱いにも拘らず、いきなり実戦投入だったんです。その時作っていた『M00N. 』というゲームがあるんですけど、その中でもう、何キャラか担当するかたちで、ある程度いきなり書かせてもらったというか、書かされたというか、書かざるを得なくなったというか。それが初めて書いたシナリオで、僕個人としても初の創作活動になります。
◆久弥流、ストーリーの作り方
――ストーリーを考える時、気をつけているところはありますか。
■できるだけあまり他ではやらないようなことをやりたい、少しでも見る人、読む人、ゲームをプレーする人」が、意外に思うところに持っていきたい、というのはあります。
ゲーム会社にいた頃は、キャラクターの設定を考えるとき、できるだけそれまでの作品では無いような新しい試みをしてみようというのがあって。だから、体が弱い女の子なんだけど、安易に病院のシーンは出さないようにしよう、とか。それと、当時はなぜか主人公の男の子は大抵朝が弱くて、ヒロインは必ず朝起こしにくるものだ、というお約束のようなものがあったのですが、それなら逆に、女の子のほうが朝が凄く弱くて、主人公が毎日頑張って起こす展開にしよう、とか。それま」でに創作活動をしていなかったから、逆に思いついたことを購賭せずに全部試してみよう、という勢いはありました。思いついたことが、定番とは外れていても、自分で面白いと思えることなら全部取り入れてみよう、と。
なので、書き始める前と書き終えた後では、自分でも意外なキャラクターに成長していることが多いです。この『メカビ 』に載っている小説も、それほど長い時間でも無いのに、プロットの時点で考えていたヒロインと今のヒロインではかなり変わりました。
そもそも、キャラクターの性格や具体的な行動は、僕の場合、最初はあまり決めないようにしています。特にゲームの場合は開発が長丁場で、開発期間中はそのキャラクターとずっと付き合っていくことになるんですが、キャラクターも書いていくうちに少しずつできてくるんですよ。だから最初は思いも寄らなかったような性格とか、突拍子もない行動が自然に出るんですよね。そうなってくると、やっと話が進み始めるというか、書きやすくなってくる。
ゲームの場合、まず企画会議があって、こんなキャラクターなんですってイメージを共有して、原画さんにデザインしてもらうわけなんですけど。その後ゲームの開発がどんどん進んでいって、デバッグの段階になると、スタッフさんから「思ってたのと喋り方が違う」とか「こんな性格だったんだ」って言われることが多かったんです。それはつまり書いてるうちに少しずつ変わっていくってことなんですよね。より、本物っぽくなるというか、キャラクターが生きてくるというか。なので、キャラクターが勝手に動き始めたら、あとは動くにまかせます。