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【剧情生肉】kf新活动-歩き続ける君のために

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生肉搬运,海法这波整理个大活,应该是受今年泳装剧情的影响了(泳装慈姐参战),这次的剧情里有很多类似那部剧情的影子。而且对于几乎人人有弱点(胡桃-慈姐,悠里-小留,美纪-圭)的学孤来说简直完美适配了。
施工过程请勿插楼。


IP属地:湖北来自Android客户端1楼2021-10-16 21:05回复
    第一节 はじまり
    明日。
    今日の次の日。
    今日が終わって、目を閉じて開けると、明日。
    私たちは、今日から明日へ、
    またその明日へ、飛び移って生きてく。
    でも明日って何だろう……。
    ゆき
    学園生活部ちゅうもーく!
    一同
    おー。
    ゆき
    ではこれより、第一回学園生活部行事、
    ドキドキ・キャンプタイムを開始します!
    みき
    ドキドキって何ですか?
    ゆき
    ドキドキはドッキドキだよ。
    あ、ゆるゆるのほうがいい?
    ゆき
    ゆるゆるキャンプタイム!
    みき
    ゆるいのはダメです。
    何かとってもいけない気がします。
    ゆき
    そっかなー。ゆるいの好きだけどなー。
    いーじゃん、ゆるキャ……。
    くるみ
    ゆるゆるでもドキドキでもいいけどよ、
    キャンプって、学園生活部なのか?
    ゆき
    くるみちゃんわかってないなぁ。
    ここはどこ?
    くるみ
    どこって森?
    ゆき
    ちっちっち。ノット・フォレスト、
    バット・ウッズ! ここはね、林だよ。
    ゆうり
    えらいわ、ゆきちゃん。
    英語も、ちゃんと勉強してるのね。
    くるみ
    林も森も変わらねぇだろ。
    ゆき
    そこが素人のあさはかかか……あさはかさ!
    林にはね、林間学校があるんだよ!
    ゆうり
    林間学校も学校だから、学園生活部に
    ふさわしい。そういうことね?
    ゆき
    さっすが、りーさん、わかってるー。
    くるみ
    よくわからん。
    ゆき
    わからなくても大丈夫!
    ゆき
    それじゃ、みんな、ゆる……じゃなかった、
    ドキドキキャンプ開始!
    一同
    おー!
    ゆうり
    ゆきちゃんは、川にいって飯盒の準備を
    お願いね。
    ゆうり
    くるみと美紀さんは、かまどの準備。
    私はおかずを準備するわ。
    一同
    了解!
    くるみ
    よいしょっ、よいしょっと。
    みき
    先輩、こっちです。風上はこっちだから……
    ここに石を積んでください。
    くるみ
    せえのっ!
    よし、かまどのいっちょあがりっと。
    みき
    薪は集めておきました。
    これでご飯が炊けますね。
    くるみ
    意外と乗り気なんだな。
    遊んでる場合じゃない……とか言うかと思ったよ。
    みき
    キャンプの技術は、戻っても役立ちますからね。
    くるみ
    なるほどな。戻ったらかー。戻れたらいいな……
    いいのかな。よくわかんねーな。
    みき
    私も……よくわかりません。こっちに来てから、
    毎日が楽しくて、でも楽しすぎる気がして。
    くるみ
    あー、なんとなくわかるな、それ。
    みき
    今でも思うんです。これが全部夢で、寝て、
    覚めたら……学校に戻ってるんじゃないかって。
    くるみ
    そんときゃそんときさ。なんとかなるだろ。
    みき
    ……そうですか。
    ゆうり
    そうね。なんとかなるわよ。
    みき
    りーさん!
    くるみ
    お、大漁じゃん!
    ゆうり
    水の魔法って釣りにも使えるのね。戻っても
    魔法使えるかしら。使えたら便利よね。
    みき
    その発想はなかったです。でも便利ですね。
    ゆき
    たっだいまー!
    水汲んで、お米研いできたよー。
    くるみ
    おう、それじゃ火をつけるか。
    ゆき
    というわけで、飯盒ごはん、ぷ・ら・す!
    焼き魚完成ーー!
    一同
    いっただっきまーす!
    ゆき
    はふはふ。やっぱ空気のいいところで食べる、
    飯盒のごはんは最高だね!
    みき
    お米が、ほわっとして、それでいて粒が
    立ってて、いい香りで、もう最高です!
    ゆき
    もっと誉めていいんだよ!
    みき
    さっすが、ゆき先輩! お米マスター!
    ゆき
    みーくんが素直だ! これが……ご飯の力!
    くるみ
    んぐんぐ。うまい。
    魚も、よく焼けて、いい感じだな。
    ゆうり
    あら、よかったわ。
    みき
    釣りも覚えておくと、役立ちそうですね。
    あとで教えてください。
    ゆうり
    いいわよ。明日は、仕事を交代して
    やってみましょ。
    ゆき
    みーくんが魚釣りっと。
    じゃ、わたし、かまど作るのやりたーい!
    ゆうり
    いいわよ。でも石は重いから、怪我しないでね。
    ゆき
    らじゃー!
    1日が終わる。楽しい1日。
    楽しくて、楽しすぎて、寝るのが、すこし怖い。
    これが全部夢だったら……。
    ゆき
    すぴー、すかー……。
    目を閉じて、今日から明日へ飛び移る準備。
    明日は、どんな今日になるだろう……。


    IP属地:湖北来自Android客户端2楼2021-10-16 21:07
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      第二节 おかえり
      ――
      目を開く前から、確信があった。
      冷たく乾いた空気。埃の匂い。
      寝袋の下の堅いタイルの感触。
      あぁ……学校だ。
      私たち……戻ってきたんだ。
      みき
      おはよう、ございます。
      みき
      (そっか。あれは夢だったんだ)
      みき
      (異世界の夢。年の近い女の子が
      いっぱいいて、楽しく暮らす夢。エトワリアの夢)
      みき
      (そんな気はしてたんだ。
      だって楽しすぎたから……)
      ゆうり
      美紀さん、大丈夫?
      みき
      大丈夫です。ちょっと夢を見て……。
      ゆうり
      ……どんな夢? 悲しい夢?
      みき
      いえ、うれしい夢です。
      うれしすぎて、目が覚めたら寂しくなっちゃう。
      くるみ
      夢じゃねーよ。エトワリアだろ?
      みき
      え?
      くるみ
      覚えてるよ、あたしも。
      ゆうり
      私もよ。
      少なくとも、ただの夢じゃないってことね。
      ゆき
      おっはよー。ねね、すっごい夢見たよ。
      めぐみ
      あら、どんな夢?
      ゆき
      エトワリアっていう世界に召喚されてさ、
      世界を救う勇者様だよ。
      ゆき
      ソラっていう女神様を助けて、そりゃもう大活躍!
      くるみ
      へー、そりゃすごい。
      ゆき
      あ、信じてないなー。
      ゆうり
      信じるわよ。ね、美紀さん。
      みき
      はい、信じます。
      ゆき
      素直でよろしい!
      これだから、くるみちゃんは……。
      くるみ
      あのな、あたしたちも、夢、見たんだよ。
      エトワリアの。
      ゆき
      え……?
      くるみ
      手伝いはしたけど……
      ゆきが勇者じゃなかったよな?
      めぐみ
      ゆきちゃん、謝るのは早いほうがいいわよ。
      ゆき
      ごめんなさーい。ちょっとだけ話盛りました。
      ゆき
      あれ、でも、夢じゃないなら、
      なんで戻ってきちゃったんだろうね?
      ゆうり
      私たちにもわからないわ。
      でもその前に……。
      ゆうり
      来てるわよ。バリケードがゆるんでたみたいね。
      みき
      そうですね。急ぎましょう。
      くるみ
      いこうぜ、エトワリアを救った勇者様なら、
      戦えるだろ?
      ゆき
      め、めぐねえが一緒なら……。
      めぐみ
      もちろんよ。みんな無茶は禁物。怪我しないでね。
      ゆき
      はーい。
      一同
      はーい。


      IP属地:湖北来自Android客户端3楼2021-10-16 21:08
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        第三节 よびかけ
        ――目を閉じて、目を開ける。
        今日から明日へ飛び移る。
        学校の今日から、エトワリアの明日へ、毎晩、
        そう念じて目を閉じる……。
        ゆうり
        おはよう、美紀さん。
        くるみ
        おはよー。
        めぐみ
        おはよう。
        みき
        おはようございます。
        みき
        (また学校だ)
        みき
        (すべてがただの夢だったかのように、
        私たちの日々は続く……)
        ゆき
        夢を夢で終わらせない!
        夢はこの手でつかむもの!
        みき
        どうしたんですか、ゆき先輩。
        ゆき
        みーくん、もう一度、エトワリアへ行くよ!
        みき
        そりゃ私だって戻りたいですけど、でも……
        本当に戻っていいんですか?
        ゆき
        本当にって?
        みき
        エトワリアは……すごくいいところで、
        友達もできましたけど、
        みき
        でも私たちの本当の居場所じゃないはずです。
        みき
        ここが、学校が、私たちが本当にいるところです。
        みき
        そこに戻ってきたんだから、
        これで終わりなんじゃ……ないですか?
        ゆき
        そうかもしれない。そうかもしれないけどさ。
        でも……みーくんも言ったよね、友達できたって。
        ゆき
        きららちゃんにもランプちゃんにも、
        ほかにもいっぱい、さよなら言ってないよ。
        みき
        ――!
        みき
        確かに、そうですね。いつまでもいられなくても、
        こんな形で戻りたくはなかったです。
        ゆき
        でしょ! 学園生活部、
        第二次ホームステイ計画、はじめちゃうよ!
        ゆうり
        でも、ゆきちゃん……。
        めぐみ
        でも、ゆきちゃん、戻るって、どうするの?
        ゆき
        三人よれば文殊の知恵って言うよね!
        ゆき
        5人もいるんだから、なんか思いつくでしょ。
        くるみ
        自分では思いつかなかったってことだな……。
        ゆき
        ぐぬぬ。
        ゆうり
        まぁまぁ、みんなで考えてみるのは、
        確かに大切よね。
        みき
        私たち……そもそも、どうやってエトワリアに
        行ったんでしたっけ?
        くるみ
        そりゃ、あれだ。ええっと、なんか魔法。
        めぐみ
        オーダーとコールね。
        きららちゃんがコールを使えたはずよ。
        ゆき
        じゃ、きららちゃんにコールの魔法使って
        もらえたら、戻れないかな。
        くるみ
        使えるなら使ってそうなもんだけどなぁ。
        ゆうり
        もしかして……私たちがいなくなったの、
        気づいてないのかしら。
        みき
        その可能性はありますね。エトワリアのどこかで
        迷子になってると思ってるのかも。
        ゆき
        じゃぁ、おーーーい、そっちじゃないよー、
        こっちにいるよーって伝えないと。
        めぐみ
        ゆきちゃん、大声出しても、多分、
        聞こえないわよ。
        ゆうり
        どうやって伝えたらいいかしら。
        くるみ
        聖典……。
        ゆき
        え?
        くるみ
        確か、あたしたちのことが載ってる本が
        あるんだったよな。
        めぐみ
        もしかして、私たちが、今、ここにいることも
        載ってる?
        ゆき
        載ってるんなら、戻りたがってるって
        気づかないかな。
        ゆうり
        聖典に、どこまで細かく描いてあるか
        わからないわ。
        みき
        学園生活部は今日も1日、
        学校で暮らしました……くらいの記述だったら、
        みき
        私たちが戻りたがってるって、わかりませんよね。
        くるみ
        じゃぁ、目立つことすりゃいいんじゃね?
        聖典に、はっきり描かれるくらいにさ。
        みき
        それはいい考えですね。
        くるみ
        よし、ゆき、やっぱ、思いっきり叫べ。
        ゆき
        いいの? 叫んじゃうよ?
        ゆき
        わたしたち、エトワリアに行きたいよーーーー!
        きららちゃん、コールしてーーーー!
        一同
        ……。
        一同
        …………。
        一同
        ………………。
        くるみ
        何も、起きないな……。
        ゆき
        ……待って、音がする!
        みき
        確かに、音はしますが、これって……くるみ先輩!
        くるみ
        おう、集まってきたな。出動だ!
        めぐみ
        みんな、無理しちゃダメよ!


        IP属地:湖北来自Android客户端4楼2021-10-16 21:11
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          第四节 おしまい?
          めぐみ
          みんなー、大丈夫?
          みき
          な、なんとか。
          ゆうり
          よく考えたら……大声出したら、ダメよね、ここ。
          久々に戻ってきたから忘れてたわ。
          くるみ
          わりぃ……。
          ゆき
          ごみん……。
          みき
          いえいえ、先輩方のせいじゃ……。
          ゆうり
          ほかに目立つ方法って何か、あるかしら……。
          めぐみ
          みんなで色々やってみましょ。
          それから私たちは色々なことを試しました。
          屋上にペンキでメッセージを書いたり、
          風船に載せて手紙を飛ばしたり。
          そして……。
          ゆき
          エトワリアのお迎え、来ないねー。
          みき
          やっぱり……夢だったんでしょうか?
          くるみ
          でもなぁ、みんなが同じ夢、
          見るってのも変だよなぁ。
          ゆうり
          図書館で読んだのだけれども、
          結構、あるみたいよ、そういうの。
          くるみ
          マジか?
          ゆうり
          といってもテレパシーとか、
          そういうのじゃなくて。
          ゆうり
          お互い、話し合ってる内に、
          自分も同じ夢を見たって気がしてくるって話。
          ゆき
          え、え、どゆこと?
          ゆうり
          夢の話って、あやふやでしょ?
          ゆうり
          それを言葉にする時に、
          他の人の言葉に引きずられちゃうわけ。
          くるみ
          細かく思い出せないけど、言われてみると、
          あたしの夢もそんな感じだった気がする。
          くるみ
          そっか、あたしたち、同じ夢を見てる!
          って感じか。
          ゆき
          うーん、そうなのかな……。
          みき
          そうじゃない……とは言い切れませんね……。
          ――目が覚めたら、エトワリアにいた。
          そんなことはなく、その後も学校での暮らしは
          続いていった。
          くるみ
          屋上に水やりいこうぜ。
          ゆうり
          電気が足りてないわね。
          めぐみ
          バリケード、直さないとね。
          ゆき
          イベントやろうYO! 温泉卓球とか、どうかな?
          くるみ
          卓球はともかく、温泉どこだよ。
          ゆき
          掘る?
          やるべきことは、毎日、いっぱいあって。
          エトワリアは、少しずつ遠くなっていった
          そして……
          ゆき
          えとわり、あ……? なんだっけ。それ、クイズ?
          みき
          クイズっていうか……。
          ゆき
          待って、まだ答え言っちゃダメだよ。
          ええっと……えとわりあ……えと、わり、あ……。
          ゆき
          3、2、1、ぶっぶー、タイムアップ!
          なんだっけ。
          みき
          いえ、その、なんでしたっけ。
          私も思い出せなくて。
          みき
          頭のどこかに引っかかってるんですけど。
          めぐみ
          あら、2人とも、どうしたの?
          ゆき
          ねーねー、めぐねえ、えとわりあってなんだっけ?
          めぐみ
          何でもいいでしょ。それより、早くしないと、
          お昼ご飯さめちゃうわよ。
          ゆき
          わっ。お昼、なに?
          めぐみ
          今日は、カレーよ!
          ゆき
          わー! 行くよ、行く、ちょっと待ってー。
          ほら、みーくんも。
          みき
          はい……。
          一同
          いっただっきまーす。
          みき
          ……いただきます。
          ゆうり
          あら、どうしたの、美紀さん。
          ゆき
          なんか思い出せないことがあるんだって。
          くるみ
          ふーん、そりゃ大変だけど、
          メシの時に考え事すると消化に悪いぜ?
          ゆき
          そうだよ、みーくん。おいしいカレーは、
          おいしく食べないとね。
          みき
          そうですね……。カレーに失礼ですね。
          では、いただきます……。
          みき
          ……は! おいしい!
          ゆき
          でしょ!?
          一同
          ごちそうさまでした。
          ゆき
          おいしかったねー。
          ゆうり
          そろそろ、ごはんがなくなるから、
          また購買部に行かないとね。
          くるみ
          了解。準備しとくぜ。美紀も来るか?
          みき
          はい、大丈夫です。
          夢が終わって目が覚めて、私たちはここにいる
          ここには、かけがえのない友達がいて、
          私たちは今日を生きていく
          もう名前も思い出せない、あの遠い世界
          それはきっと大切な思い出だけれど、でも、今、
          ここにいることのほうが、もっと大切で
          だから、これでいいんだ
          みき
          ――ただいま。
          くるみ
          ん、なんか言ったか?
          みき
          いえ、なんでもありません。
          みき
          ただ……戻ってきたんだなって思ったんです。
          くるみ
          ん? どこにも行ってないだろ?
          みき
          いえ、いってたんです。
          ただの……夢の話ですけど。
          「がっこうぐらし! エトワリア編――完――」
          くるみ
          って、終わっちゃダメだろ!
          みき
          す、すいません。流れで。
          ゆき
          もうちょっとだけ、続くんじゃ!


          IP属地:湖北来自Android客户端5楼2021-10-16 21:14
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            第五节 そのころ
            みき
            う、うぅ……。
            ランプ
            美紀様、こんなにもうなされて……。
            きらら
            何があったんだろう?
            森に果物を取りにいくまでは元気だったよね?
            ランプ
            はい。ゆき様が、『キャンプだ! 林間学校だ!』
            とはしゃいでおられました。
            マッチ
            僕もそれは覚えてるよ。
            ランプ
            それが、帰ってきてから、
            急にこのように倒れられて……。
            きらら
            何かあったのかな……?
            ランプ
            こんなことなら、付いていけばよかったです!
            ランプ
            大切なクリエメイトの皆様たちをこのような
            目に遭わせるだなんて……。
            マッチ
            しかたないだろ。ランプは補習があったんだから。
            ランプ
            バカバカ! わたしのバカ!
            きらら
            今は自分を責めてる場合じゃないよ。
            とにかくみんなを治す方法を考えなきゃ。
            ランプ
            そうですね。落ち込んでる場合じゃありません。
            マッチ
            立ち直り早いなあ。
            ま、そこがランプのいいところなんだけど。
            きらら
            お医者様の見立てでも、
            原因はわからないんだよね……?
            ランプ
            何か魔物に取り憑かれたとか……?
            ゆき
            ……めぐねぇ、いやだよ……うぅぅ……。
            ランプ
            ゆき様!!
            きらら
            待って、ランプ!
            ゆきさんから、何か出てくる!
            謎の魔物
            ウゥゥ、ツゥゥゥ……。
            ランプ
            なんですか、これ!?
            こんなものがゆき様たちに取り憑いて……!?
            きらら
            とにかく、やっつけるよ!
            謎の魔物
            ウゥゥ、ツゥゥゥ……。
            ランプ
            あっ、またゆき様の中に入っていきました!
            きらら
            どうやら、あの子たちが原因みたいだね。
            ランプ
            神殿にさっきの魔物を知っている人がいないか、
            聞いてきます!
            ハッカ
            ……すまぬ。此度のそれは、私の知らぬ魔物。
            ランプ
            そんな……ハッカも知らないだなんて。
            ハッカ
            だが、この魔物が引き起こす現象は、理解。
            きらら
            いったい、ゆきさんたちに何が起きてるんですか?
            ハッカ
            ……彼女たちは悪夢を見ている。
            ランプ
            悪夢……ですか?
            ハッカ
            ……肯定。此度の魔物は悪夢を見せる魔物。
            ハッカ
            彼女らが囚われしは、
            魔物の作り出す悪夢の迷宮。
            ハッカ
            放置すれば、いずれ衰弱し……
            消滅が彼女らを待つ。
            ランプ
            そんな!!
            ランプ
            コールで呼び出されたクリエメイトの皆様が
            そんなことになったら……。
            マッチ
            聖典にも影響が出るのは間違いないね。
            ハッカ
            どのような影響がもたらされるかは、不明。
            されど、悲劇は確実。
            きらら
            さっきの魔物を引き剥がすことは
            できないんですか?
            ハッカ
            私の夢幻魔法を使えば、不可能ではない。
            だが……。
            ハッカ
            無理矢理、引き剥がすことで、
            いかなる影響があるかは……未知数。
            マッチ
            八方塞がりじゃないか!
            ハッカ
            自助努力。彼女らが自ら悪夢を克服するが、
            最良。
            ランプ
            見守るしかないってことですか……?
            きらら
            何か私たちにできることはないの?
            ハッカ
            1つだけ可能性が存在。それは――


            IP属地:湖北来自Android客户端6楼2021-10-16 21:15
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              第六节 おうえん
              きらら
              それは!?
              ハッカ
              きらら……あなたのコール。
              きらら
              えっ?
              ハッカ
              ここまで強く取り憑かれた人間の悪夢に入るのは
              ……不可能。
              ハッカ
              でも、きららのコールなら……可能。
              かもしれない。
              マッチ
              つまりはどういうことなのさ。
              ハッカ
              私の力で、きららのコールが夢の中に
              届くようにする。
              ランプ
              夢の中に、ゆき様たちを助けられる『誰か』を
              召喚するってことですか?
              ハッカ
              端的に言えば……そう。
              マッチ
              そんなことができるんだ!
              ハッカ
              私が、夢への道を開く。でも、おそらく……
              妨害がある。
              ランプ
              さっきの魔物ですか?
              ハッカ
              間違いなく、抵抗してくる。
              ハッカ
              私は魔法に集中。魔物の相手は、あなたたち。
              きらら
              わかりました!
              ランプ
              任せてください!
              ゆき様たちを助けるためならば、なんでもします!
              ランプ
              この世界にいるときくらい、
              楽しい思いだけをして欲しいですから……。
              ハッカ
              ……了解。なら、準備にかかる。
              ハッカ
              ……夢よ、その道を開け。
              我が夢幻の力、解放せよ!
              謎の魔物
              ウゥゥゥ! ツゥゥゥゥ!
              ランプ
              わわわっ、出てきました!
              きらら
              やっつけるよ! ゆきさんたちを助けるために!
              ハッカ
              道は開いた……きらら、今!
              きらら
              はいっ!
              ランプ
              コールの光がゆき様たちの中に
              吸い込まれて……。
              ハッカ
              ……上出来。おそらく召喚は成功。
              マッチ
              きらら、誰を召喚したの?
              きらら
              それが……わからないの。
              夢の中のせいか、いつもと勝手が違って。
              マッチ
              そっかぁ……。
              ランプ
              大丈夫です!
              きっとゆき様たちを助けてくださる方ですよ!
              ゆうり
              いかないで……るーちゃん……。
              くるみ
              う、く……まだ……まだ、ダメだ……。
              ランプ
              皆様、まだうなされて……。
              ハッカ
              未だ悪夢からの解放はならず。
              引き続き、看護は続けるべき。
              ハッカ
              時折、此度の魔物が出現する。
              そうなれば……討伐。
              ハッカ
              それが、彼女らのためにもなる。
              ランプ
              わかりました!
              きらら
              頑張ります!
              ゆき
              ……ぁうう、みんな……うぅぅっ……。
              ランプ
              ゆき様、わたしたちもここから応援しています。
              ……必ず悪夢に打ち克ってください。
              きらら
              信じよう。ゆきさんたちの強さを、
              私たちは知ってるから――
              ???
              …………。


              IP属地:湖北来自Android客户端7楼2021-10-16 21:17
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                第七节 あめのひ
                ゆき
                学園生活部心得第五条!
                みき
                部員は折々の学園の行事を大切にすべし、
                でしたっけ。
                ゆき
                そそ。今日は晴れてて天気もいいし、
                一汗かいたら楽しいよ!
                くるみ
                体育祭か、アリだな。
                ゆうり
                電気に余裕があるから、温水シャワーも出るわね。
                みき
                体育祭、懐かしいですね……。
                ゆき
                みーくんが、おばあちゃんみたいなことを!
                みき
                そうじゃなくて! 私が学園生活部に
                入部したばかりの時にやったじゃないですか。
                ゆき
                そうだった。じゃぁ今回のは体育祭セカンド。
                いや、シン・体育祭?
                くるみ
                なんだか知らないけど強そうだな、それ。
                みき
                いいですね、シン・体育祭。何やりましょうか。
                徒競走、玉入れ……綱引きもいいですね。
                ゆき
                みーくん、ノリノリだね! 騎馬戦はどうかな!
                くるみ
                人数足りないだろ。
                ゆき
                そんなことないよ。わたしとみーくんとりーさんと
                くるみちゃんで、4人で馬作れるよ。
                くるみ
                作って誰と戦うんだよ!
                ゆき
                めぐねえだよ!
                めぐみ
                え、私1人!?
                ゆき
                めぐねえ強いから、大丈夫だよー。
                めぐみ
                まってまって、先生そこまで強くないわ……。
                みき
                先輩、さすがに無茶です。
                ゆうり
                二人三脚はどう?
                くるみ
                二対二か。いいんじゃね?
                ゆき
                二対二だと、1人余らない?
                めぐみ
                先生は審判やるからいいわ。
                ゆうり
                じゃぁ、今日はみんなで準備して、
                明日は体育祭ね。
                一同
                おおー!
                みき
                というわけで、体育祭当日ですけど……。
                ゆき
                雨だー。
                みき
                雨ですね……。
                ゆうり
                残念だけど、体育祭は中止したほうがいいわね。
                ゆき
                中止!?
                ゆうり
                晴れるまで待つだけよ。
                ゆき
                でもでも、学校の中だから雨関係なくない?
                ゆうり
                そんなことないわ。
                うちの廊下、湿ってると、すごく滑るでしょ。
                ゆうり
                こんなとこで走ったら危ないわよ。
                ゆき
                うーん……そうだけど。
                でも、このあふれ出る情熱が!
                ゆうり
                ゆきちゃん、情熱があるのね。
                ゆき
                もっちろん!
                ゆうり
                じゃぁ、そのあふれ出る情熱を勉強に向けて……。
                ゆき
                え!
                ゆうり
                晴耕雨読って言うでしょ。
                雨の日は本を読んで勉強するのが一番よ。
                ゆき
                情熱冷めました。もう、ひえっひえです。
                ゆうり
                こーら、ゆきちゃん、どこいくの?
                みき
                ちょっと、かわいそうじゃないですか?
                ゆき先輩、すごく体育祭楽しみにしてたのに。
                くるみ
                床が滑るだけじゃなくてな。
                みき
                え?
                くるみ
                雨の日は、あいつらが騒ぐんだ。
                くるみ
                外にいるやつらが校舎の中に入ってきて、
                バリケードが破られたことがある。
                くるみ
                あの時も、こんな雨の日で……。
                みき
                そんなことがあったんですね。
                くるみ
                はぁ、湿っぽくなっちまったな。
                みき
                雨、はやく上がるといいですね……。
                くるみ
                そうだな……。
                ゆき
                もー、雨でも体育祭くらいできるのにね、
                めぐねえ。
                めぐみ
                できないことはないけど……やっぱり危ないわよ。
                丈槍さんも1日くらい待てるでしょ。
                ゆき
                でも、明日も雨だったら……
                明後日も雨だったら!!
                めぐみ
                やまない雨はないわよ。
                ゆき
                うん。でも、早く止んでほしいな。そうだ、
                てるてる坊主! てるてる坊主作ろう、めぐねえ!
                めぐみ
                いいアイディアね。購買部いって、お裁縫道具
                とってくるわ。ゆきちゃんは、教室いってて。
                ゆき
                待って。
                めぐみ
                なぁに?
                ゆき
                ねぇ、めぐねえ。ちゃんと帰ってきてね?
                もうどこにもいかないでね?
                めぐみ
                心配しないで。もう、二度と、ゆきちゃんを
                置いてったりしないから。
                みき
                先輩、校庭が……。
                くるみ
                あぁ、どんどん校内に入って来てるな。
                バリケードが保つかどうか……。
                くるみ
                いざとなったら、部室に入って雨が止むまで
                籠城だな。
                みき
                はい。みんな呼んできますね。
                ゆうり
                美紀さん。ゆきちゃん見なかった?
                みき
                そっちにいませんか? 私も捜してたんです。
                ゆうり
                いつもなら、教室でめぐねえの授業受けてる頃
                だけど……。
                みき
                教室にもいませんでした。
                みき
                あの、雨で……かれらがいっぱい入ってきて、
                バリケードが危ないかもしれません。
                ゆうり
                ええ、わかってるわ。急いで捜しましょ。
                みき
                はい!
                くるみ
                くそっ。もう入ってきてる。
                くるみ
                キリがねぇ! ゆきはどこだ!?
                みき
                あそこです! 廊下の端っこ!
                くるみ
                ゆきー、こっちだ!
                みき
                先輩、こっちです! 今なら間に合います!
                ゆき
                ……めぐねえ、めぐねえ、どこ……。
                ゆうり
                ゆきちゃん、いいから、こっち来て!
                くるみ
                くそっ、こいつら倒してたら、間に合わない。
                ゆうり
                ゆきちゃん、立って! こっちへ来て。
                みき
                そうだ……ゆき先輩、体育祭です。
                ゆき
                ……たいいくさい?


                IP属地:湖北来自Android客户端8楼2021-10-16 21:21
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                  みき
                  そうです。徒競走、障害物競走、リレー、
                  二人三脚! ゴールはこっちです!
                  めぐみ
                  そうよ、ゆきちゃん。走って。
                  ゆき
                  めぐねえ、めぐねえ、いた! どこいってたの?
                  めぐみ
                  その話は後よ。さ、二人三脚、いくわよ。
                  ゆき
                  うん!
                  ゆうり
                  ゆきちゃん、走り出した! そうよ、頑張って!
                  みき
                  ふれーっ、ふれーっ、先輩。
                  ゆうり
                  ふれーっ、ふれーっ、ゆきちゃん!
                  くるみ
                  よっしゃ、今のうちに、こいつらぶっ倒して、
                  道をつくるぞ!
                  みき
                  はい!
                  ゆき
                  いちにっ、いちにっ、いちにっ……。
                  みき
                  先輩、前から来てます。
                  よけて! つかまらないで!
                  ゆき
                  はぁっ、はぁっ……。あと……すこし……。
                  みき
                  先輩……。よかった。もう大丈夫です。
                  ゆき
                  みーくん、ゴール、ここ?
                  みき
                  はい、ゴールです。
                  くるみ
                  おっし、このまま後退して籠城するぞ。
                  みき
                  ふう……。これで、入ってこられません。
                  くるみ
                  一安心だな。雨が上がるの待つか……。
                  ゆうり
                  ゆきちゃん、大丈夫? 怪我してない?
                  ゆき
                  大丈夫。めぐねえがいたから。
                  ゆうり
                  そうね、めぐねえのおかげね。
                  ゆき
                  みーくん、りーさん、怒ってる?
                  みき
                  怒ってません。
                  ゆうり
                  怒ってないわよ、ちょっと心配しただけ。
                  ゆき
                  そっか、心配かけてごめんね。
                  みき
                  まったく……。先輩に、そんな殊勝な顔は
                  似合わないですよ。
                  ゆき
                  そうかな……。
                  みき
                  そうですよ。明日は楽しい体育祭です。
                  今日のことは忘れましょう。
                  ゆき
                  忘れられないよ。だって嬉しかったもん。
                  ゆき
                  わたしね、みんなが応援してくれたから、
                  頑張れたんだよ。
                  ゆうり
                  応援したかいがあったわね。
                  みき
                  なるほど……。そう考えてみると、
                  そんなに悪い日じゃなかったかもしれません。
                  ゆき
                  うん、悪い日じゃなかったよ。
                  みんな一緒に頑張って、つらいことを乗り越えて。
                  ゆき
                  ずっとこんな風だといいな。
                  みき
                  そうですね。ずっとこんな風だといいですね。
                  めぐみ
                  心配しなくても、私たち、ずっと一緒よ、
                  ゆきちゃん。
                  ゆき
                  うん、ずっと一緒だね、めぐねえ。
                  ???
                  見つけた……。


                  IP属地:湖北来自Android客户端9楼2021-10-16 21:23
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                    第八节 つないだて
                    ゆうり
                    うーん……。
                    くるみ
                    どうした、りーさん。
                    ゆうり
                    食べすぎね……。
                    くるみ
                    太った?
                    みき
                    そうは見えませんね。どちらかというと、
                    あやかりたいボディラインです。
                    ゆうり
                    もう、そうじゃなくて。
                    ゆうり
                    体育祭のあと、みんないっぱい食べたでしょ。
                    食糧が残り少ないのよ。
                    くるみ
                    じゃぁ購買だな。準備してくるぜ。
                    ゆうり
                    せっかくだから、みんなで行きましょ。
                    そのほうがいっぱい持ち帰れるし。
                    みき
                    わかりました。
                    ゆうり
                    学園生活部、全員集まった?
                    くるみ
                    準備完了。
                    みき
                    大丈夫です。
                    けい
                    うん。
                    くるみ
                    これで全員だっけか。
                    みき
                    いち、にー、さん、4人ですから全員ですよ。
                    くるみ
                    だな、変なこと言ってわりいな。
                    みき
                    いえ、わかります。
                    私もなんか変な気がしたので。
                    みき
                    なんなんでしょうね。
                    ゆうり
                    では、購買部へ出発します。
                    ゆうり
                    2階は、まだ完全に確保できないから、
                    みんな気をつけてね。
                    一同
                    はーい。
                    みき
                    ……。
                    けい
                    どうしたの? 美紀。
                    みき
                    ねぇ圭、私たち、どうしてここに来たんだっけ?
                    けい
                    どうしてって、どういうこと?
                    みき
                    あのモールに2人でいて……それから……。
                    けい
                    外が危ないから2人で待ってたら、
                    学園生活部の人が来たんだよね。
                    けい
                    その節はお世話になりました。
                    ゆうり
                    人がいると思わなかったから、びっくりしたわ。
                    くるみ
                    そうだよな。
                    あの時は、気づかないで帰るところだった。
                    くるみ
                    あたしには何も聞こえなかったけど、
                    あいつが……。
                    くるみ
                    あいつが……。
                    みき
                    圭だっけ?
                    けい
                    うん、私、耳いいからさ。
                    みき
                    そう、あの時、
                    圭が、絶対、誰かいる、声がするっていって。
                    みき
                    それで、2人で外に出て……。
                    けい
                    どうしたの?
                    みき
                    わからない。あの時のこと考えてたら、
                    すごく怖くなって……。
                    くるみ
                    静かに……!
                    ゆうり
                    いるわね……。
                    くるみ
                    あぁ、前方に固まってる。
                    けい
                    よけるのは無理っぽそう。
                    くるみ
                    倒すか。音を立てずにいくぞ。
                    美紀、大丈夫か?
                    みき
                    大丈夫です、いきましょう。
                    けい
                    うん、いこ。
                    みき
                    はぁ……はぁ……。
                    ゆうり
                    美紀さん、大丈夫?
                    みき
                    平気、です……。
                    みき
                    (どうしてだろう。怖さが消えない)
                    みき
                    (圭を見ると、胸がどきどきする。大切なことを
                    忘れてる気がする。とても大切なこと)
                    けい
                    どしたの、美紀?
                    みき
                    う、ううん、なんでもない。
                    けい
                    心配しないでいいよ。
                    みき
                    え?
                    けい
                    私たち、ずっと一緒だからさ。
                    みき
                    うん……そうだね、圭。
                    ――さしだされた圭の手を、私が取る。
                    そうだ。私は今、圭と一緒に、ここにいる。
                    この手を離さなければいいんだ。絶対に離さない
                    今度こそ……。


                    IP属地:湖北来自Android客户端10楼2021-10-16 21:24
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                      第九节 ぼうし
                      教室の扉。机の向こう。窓際。
                      気がつくと、目が捜してる。
                      確かに、そこにいた気がするのだ。
                      小さくて、ほうっておけなくて、大切な人影。
                      でも、そんな人影はなくて……。
                      胸の奥に何かがつかえてる、
                      そんな気持ちが抜けない。
                      みき
                      りーさんですか?
                      くるみ
                      あぁ、最近ちょっと変っていうか、
                      疲れてないか?
                      みき
                      ううん、私はよくわかりません。
                      けい
                      疲れてもしょうがないんじゃないかな。
                      りーさん、いつも私たちの面倒みてるから。
                      くるみ
                      そんなに面倒かけてるつもりはないぞ。
                      みき
                      くるみ先輩、りーさんの勉強会、
                      よくさぼりますよね。
                      くるみ
                      う……。それなら美紀だって、夕食の時間に
                      なっても、本読んでて返事しないことあるじゃん。
                      みき
                      あったかも……。
                      けい
                      じゃぁさ、しばらく、みんなで、りーさんの仕事
                      手伝って、面倒ごとかけないようにしない?
                      くるみ
                      賛成。
                      みき
                      そうですね。りーさんにはお世話になりっぱなし
                      ですから……。
                      けい
                      よし、決まったね。
                      くるみ
                      ごちそーさまでした。
                      ゆうり
                      お粗末さまでした。
                      みき
                      あ、食器、私が洗いますね。
                      ゆうり
                      あら、ありがと。
                      くるみ
                      あと、りーさん、これ。
                      この前、サボったぶんの宿題。
                      ゆうり
                      間違いは……ないわね。
                      すごいわ、くるみ。
                      くるみ
                      よっしゃ! 予習もしとくぜ。
                      ゆうり
                      え、2人ともどうしたの?
                      けい
                      りーさん、疲れてるみたいだからさ、
                      ちょっと休んでもらおうかなって。
                      ゆうり
                      ……。そう、それは嬉しいわね。
                      くるみ
                      母の日、みたいな?
                      ゆうり
                      ちょっと! お母さんじゃないわよ!
                      みき
                      こんな生活だと、疲れることも多いですから、
                      みき
                      あんまり迷惑かけないようにしないと
                      って思ったんです。
                      ゆうり
                      迷惑とか思ったことはないわよ。
                      でも、ありがとう。
                      ゆうり
                      3人とも、すごくいい子。
                      私のために頑張ってくれてる。
                      ゆうり
                      食器洗いも洗濯もやってもらって、すごく嬉しい。
                      ありがたい……と思う。
                      ゆうり
                      こうして、ただ座っていると目が動く。
                      あの子のことを捜してしまう。
                      ゆうり
                      あの子って……誰だろう。
                      ゆうり
                      ここには私たち4人しかいないのに……。
                      ゆうり
                      うそ、違う。もう1人いたはず。
                      ゆうり
                      ここにいないなら……ここに来る前?
                      ???
                      りーねー。
                      ゆうり
                      ……!
                      みき
                      屋上菜園の収穫してきました。
                      くるみ
                      バリケード異常なしだぜ。
                      みき
                      りーさん、喜んでくれるでしょうか。
                      けい
                      間違いないって。
                      今頃、のんびりしてるんじゃない?
                      ――ガッシャーン
                      みき
                      今の音、なんですか?
                      くるみ
                      廊下のほうだ。
                      けい
                      急いでいってみよう。
                      ゆうり
                      るーちゃん、待って……。戻ってきて。
                      るう
                      ……。
                      ゆうり
                      るーちゃん……。
                      るう
                      ……。
                      ゆうり
                      よかった、いた!
                      るう
                      りーねー。
                      ゆうり
                      ずっと忘れてた。私、悪いお姉ちゃんだよね……。
                      るう
                      りーねー、怖いよ……。
                      ゆうり
                      大丈夫。今度は……今度は絶対に守るからね。
                      くるみ
                      りーさん! いねぇ。
                      みき
                      こっち……バリケードが崩れてます。
                      けい
                      破られた? 外から来たの?
                      みき
                      違います。内から崩れてて、誰かが無理矢理、
                      出て行ったみたいです。
                      くるみ
                      誰かって、りーさんだろ!
                      なんでそんなことするんだよ!
                      みき
                      私だってわかりません!
                      けい
                      喧嘩してる場合じゃないよ。いこ!
                      くるみ
                      あぁ、悪ぃ。
                      みき
                      悩むのはあとですね。
                      りーさん、無事でいてください。
                      くるみ
                      いた! いっぱいいるぞ。覚悟決めてけよ。
                      みき
                      はい!
                      くるみ
                      はぁ……はぁ……。これで、全部だ。
                      みき
                      なんとか倒せる、ものですね。
                      けい
                      まだ来るよ!
                      くるみ
                      これ以上は、まずいぞ。
                      けい
                      戻ったほうがいいかも。
                      くるみ
                      おい、戻っちゃだめだろ。あたしたち……。
                      みき
                      なんで戦ってるんでしたっけ。確か……。
                      けい
                      バリケードが崩れたから
                      原因を調べに来たんだよね。
                      みき
                      そうでした。バリケードが崩れて……。
                      くるみ
                      じゃぁ、原因は、退治できたな。
                      また来ないうちに戻ろうぜ。
                      くるみ
                      ……。
                      みき
                      そう、ですね。
                      みき
                      ……。
                      くるみ
                      おい美紀、変な顔してるぞ?
                      みき
                      先輩もですよ。
                      けい
                      2人ともどうしたの? 早く戻らないと。
                      みき
                      ええ。あ……。
                      けい
                      どしたの、美紀?
                      みき
                      今、そこに誰かいませんでした?
                      けい
                      誰もいないよ?
                      みき
                      このへんに何か動いた気が……あ。
                      けい
                      帽子?
                      みき
                      子供用の帽子、かな……。
                      けい
                      ふーん、どこから来たんだろね。
                      学園生活部の去った校舎の片隅。
                      いるはずのない人影が1つ。
                      人影は帽子を拾い上げ……。


                      IP属地:湖北来自Android客户端11楼2021-10-16 21:27
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                        第十节 あのひと
                        目を閉じて、目を開ける。
                        昨日から今日へ飛び移る。
                        飛び移って、飛び移って……
                        飛び移った先に何があるのか。
                        先のことは、よくわからない。考えるのは苦手だ。
                        いつかは、この学校もでてかなきゃならなくなる
                        だろう。
                        いつかは。
                        その時、あたしの明日はどこにあるんだろう?
                        くるみ
                        学園生活部、全員集まったか?
                        みき
                        大丈夫です。
                        けい
                        うん。
                        くるみ
                        これで全員だっけか。
                        みき
                        いち、にー、さんですから全員ですよ。
                        くるみ
                        3人でよかったっけ。
                        みき
                        くるみ先輩、大丈夫ですか?
                        学園生活部は最初から3人ですよ。
                        くるみ
                        あーいや……大丈夫、だと思う。
                        けい
                        あまり大丈夫じゃないやつだ。
                        みき
                        そうですね……。少し休んだほうが良いのでは?
                        パトロール、代わりましょうか?
                        くるみ
                        いやいや、そんなマジな顔するなよ。
                        ちょっとボケただけだって。
                        みき
                        ほんとですか?(じー)
                        くるみ
                        ほんとだよ! んじゃ行ってくっから。
                        みき
                        くるみ先輩、大丈夫かな。
                        けい
                        うーん。ちょっと心配かな。
                        みき
                        先輩、いつも元気だけど……私たちが来るまで、
                        ずっと1人だったんだよね。
                        みき
                        1人だけ生き残って、学校で毎日暮らすって、
                        どんな気持ちだったんだろう。
                        けい
                        ……わからないよ。美紀はわかる?
                        みき
                        (わからない。わかるはずもないけど)
                        みき
                        (なんだろう、この気持ちは)
                        けい
                        美紀?
                        みき
                        あ、ごめん。えっと……?
                        けい
                        もー、美紀まで、ぼーっとして。私の気持ちは、
                        だーれも、わかってくれないんだー。
                        みき
                        わかるよ!
                        けい
                        ……!
                        みき
                        圭の気持ちはわかるから。
                        けい
                        わかってるよ、冗談だって。
                        みき
                        もう……。
                        くるみ
                        学園生活部は3人。いや……。
                        くるみ
                        あいつらと会うまでは1人だった。
                        あの日、屋上で生き残ったあたしは、
                        広い学園で1人で暮らしていた。
                        大勢死んだ。クラスメートも。先生も。
                        多分、家族も。
                        警察もレスキュー隊も自衛隊も来なくて
                        ラジオにも何も入らないから……
                        生き残ったのはあたしだけかもしれない。
                        死んでいった、みんなのために、
                        生き残らなきゃダメだって思った。
                        バリケードを作って、寝場所を確保して……。
                        部活ってことにしたのは……そうしたほうが、
                        張りがあるし、楽しいからだって。
                        あの人が……。
                        あの人……?
                        あの人って……誰だ?
                        くるみ
                        ……!
                        くるみ
                        どけ! 邪魔だ!


                        IP属地:湖北来自Android客户端12楼2021-10-16 21:28
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                          第十一节 あした
                          くるみ
                          くそっ、多すぎる。
                          くるみ
                          なんで、こんなに多いんだ。
                          くるみ
                          上に戻るのは……無理か。
                          くるみ
                          よし、下だ。1階へ……。
                          くるみ
                          なんだこれ。1階。来た記憶があるぞ。
                          くるみ
                          いや、そりゃそうだよ。学校なんだから。
                          毎日通ってたわけだし。
                          くるみ
                          でも、それだけじゃない。この割れた窓……
                          壊れた扉。あたしは、ここに来たことがある!
                          くるみ
                          確か、こっちに地下の入り口が……。
                          くるみ
                          どけっ! 邪魔するなっ!
                          くるみ
                          あった……本当にあったぞ。
                          くるみ
                          地下への扉だ。
                          この先にあるのは貯蔵庫、シェルターだ。
                          くるみ
                          気のせいじゃない。あたしは本当に覚えてる。
                          そうだ、学園生活部も3人じゃなかった。
                          くるみ
                          だいたい、あたし1人で部活なんて
                          思いつくわけないよな。
                          くるみ
                          あたしは、この地下へ続く道で……。
                          くるみ
                          誰かに……会った気がする。それで驚いて。
                          くるみ
                          誰だ。
                          くるみ
                          くそっ、思い出せない。
                          くるみ
                          この扉を……開けていいのか。
                          くるみ
                          開けたらいけない気がする。
                          開けなきゃいけない気がする。
                          くるみ
                          迷っててもしょうがねぇ。開けるか!
                          くるみ
                          そうだ……思い出した。なんで忘れてたんだ。
                          忘れるはずないのに。
                          くるみ
                          ちくしょう、こんなとこにいたのかよ、
                          なんでだよ。
                          くるみ
                          なんでだよ……めぐねえ!
                          くるみ
                          あぁぁぁっ!!
                          めぐみ
                          ……。
                          くるみ
                          やっぱり……刺せねえや。
                          くるみ
                          あの時もダメだったもんな。
                          めぐみ
                          ……。
                          くるみ
                          そっか……夢だったんだな。全部、夢。
                          くるみ
                          本当のあたしは、あの時、倒れて……。
                          くるみ
                          明日なんて……なかったんだな……。
                          めぐみ
                          ガァッ。
                          ???
                          ……。


                          IP属地:湖北来自Android客户端13楼2021-10-16 21:28
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                            第十二节 ふたりきり
                            友達って不思議だ。
                            圭とは、こんなことになる前から友達で、
                            気があって、一緒にいて楽しかった。
                            圭は身軽だった。楽しいこと、やりたいことを
                            見つけて、すぐに飛び込んでいく。
                            私だと、これは私っぽくないとか、やっても
                            仕方がないとか思って片付けることを……。
                            けい
                            やってみればいいじゃん!
                            そんな圭が、ちょっと危なっかしくて、
                            ほっとけなくて……まぶしかった。
                            あのまま何もなかったら、仲良くして、
                            卒業して……それから、どうしていただろう。
                            大学は一緒かもしれない。違うかもしれない。
                            引っ越すかもしれない。新しい環境、新しい友達。
                            同窓会の時に会って、懐かしいね、覚えてる?
                            とか言い合ってたかもしれない。
                            そんな明日もあったかもしれない。
                            そうなってなくて……幸せ、なのかな?
                            けい
                            美紀、何書いてるの?
                            みき
                            あ、見ちゃだめ。
                            けい
                            あーやーしー。
                            みき
                            ただの日記だよ。
                            けい
                            日記かー。よく書くことあるね。
                            毎日、昨日と同じじゃん。
                            みき
                            そうだけど……あれ、そうだったっけ。
                            けい
                            ん?
                            みき
                            なんか、もっと騒がしかった気がする。
                            部活とか……。
                            けい
                            ぶかつー? 美紀、帰宅部じゃなかったっけ?
                            みき
                            ……どうだったっけ。
                            けい
                            ちょっと大丈夫? おでこかして。
                            けい
                            ……ほら、熱あるよ。
                            みき
                            熱?
                            けい
                            38度1分。保健室に風邪薬あるかな……。
                            みき
                            だめ。
                            けい
                            え?
                            みき
                            1人でいくのなし。私もいく。
                            けい
                            いや無理でしょ、その熱じゃ。
                            みき
                            なら圭もダメ。一緒にいて。
                            けい
                            ……。
                            みき
                            ……。
                            けい
                            わかったわかった。甘えんぼさんだね。
                            みき
                            ……ふぁーあ。
                            みき
                            熱、下がったかな?
                            だいぶ楽になった気がする。
                            みき
                            けいー。
                            みき
                            けい、どこ?
                            みき
                            圭! あ、これ、書き置き。
                            美紀へ。購買と保健室行ってきます。
                            晩ご飯は期待してね。
                            みき
                            もう夜だ。私、どれくらい寝てた。
                            圭は、いつ出かけたんだろ。
                            みき
                            ……行かないと。
                            みき
                            購買いくなら、こっちのバリケード。
                            みき
                            よっと……。
                            みき
                            いかないと、いかないと、いかないと……。
                            みき
                            圭がいなくなっちゃう。せっかく会えたのに。
                            またいなくなっちゃう……!
                            みき
                            数が……多い。
                            みき
                            圭! 圭、どこ?
                            けい
                            来ちゃだめ!
                            みき
                            圭!? 無事? 怪我してない?
                            けい
                            早く戻って。数が多すぎるから。
                            囲まれたら戻れないよ。
                            みき
                            ……!
                            みき
                            どっちからも来てる。
                            すぐ階段に戻らないと……囲まれちゃう。
                            みき
                            でも……。
                            けい
                            こっちは大丈夫。
                            みき
                            圭、どこ?
                            けい
                            教室。落ち着くまで籠もってるから大丈夫。
                            美紀は早く戻って!
                            みき
                            嘘ばっかり!
                            けい
                            ……!
                            みき
                            圭のことならわかるんだからね!
                            嘘ついても、無駄だから。
                            けい
                            美紀、やめて! 早く戻って。
                            みき
                            嫌だよ!
                            みき
                            今度こそ……圭は離さない!
                            みき
                            ごめんなさいっ、どいてっ!
                            みき
                            よし、穴があいた。今のうち、閉じる前に……。
                            みき
                            ここだ。圭、開けて! 圭!
                            けい
                            ……。
                            みき
                            はぁ、はぁ、はぁ……。
                            けい
                            美紀の馬鹿! 来るなって言ったじゃん。
                            みき
                            圭の嘘つき! 私がいなかったら
                            バリケード作るの間に合わなかったじゃん。
                            けい
                            嘘くらいつくよ……
                            これじゃ2人とも戻れないじゃん。
                            みき
                            ……いいよ、そのくらい。
                            けい
                            よくないよ……。
                            みき
                            いいよ……圭がいれば。
                            みき
                            2人で一緒にいて……生きてれば、それでいいよ。
                            けい
                            後悔するよ……。
                            みき
                            もうした。今度は離さない。
                            けい
                            もう、ばか……。
                            それからずっと雨が降って、教室の向こうの
                            かれらは、一向に減る様子がなかった。
                            おなかがすいて、喉がかわいて、それでも
                            私たちは、じっと動かずに静かにしていた。
                            1人なら耐えられなかった。
                            2人だから心強くて、2人きりだから心細くて。
                            握りあった手の温かみを感じながら、
                            私は心細さを胸の奥に沈めた。
                            喉がかわいて、かわいて、かわいて……
                            体がふらふらしてくる。
                            そうなる前に、一か八か外に出るべきだった
                            かもしれない。
                            でも、私たちはそうしなかった。
                            もう渇きも、あまり感じない。
                            すごく安らかな気持ち。
                            目を閉じて、目を開けて。
                            今日から明日へ飛び移る。
                            でも、今、目を閉じたら、もう明日はないと思う。
                            だから必死で目を開ける。
                            圭が寂しくないように。圭が目をつぶるまでは。
                            たぶん、圭も同じことを考えてる。
                            こんな時に、意地の張り合い。
                            それがちょっと楽しくて、幸せで。
                            だんだんめのまえがくらくなっていって、
                            けいのかおがみえなくなって、
                            ゆびさきのあたたかさは、
                            まだあって。
                            さいごにわたしは、
                            あぁ、これでいいんだ、と……。
                            ……。
                            ……。
                            ゆき
                            ――!


                            IP属地:湖北来自Android客户端14楼2021-10-16 21:30
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                              ゆき
                              よくない!
                              みき
                              ……!?
                              みき
                              ……え?
                              ゆき
                              思い出して、みーくん。学園生活部心得第四条。
                              ゆき
                              部員はいついかなる時も互いに助けあい
                              支えあい楽しい学園生活を送るべし!


                              IP属地:湖北来自Android客户端15楼2021-10-16 21:30
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